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男性取りやすく 法改正で出生時育休創設、2回まで可

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男性の育児休業取得率は7.48%(2019年度「雇用均等基本調査」)。2010年度の1.38%と比べると増えたとはいえ、10年以上経っても抜本的な改革が見られないままです。政府は25年までに男性の育休取得率を30%まで高める目標を掲げています。こうした状況を背景に、男性の育児参加を促す「改正育児・介護休業法」が22年度以降、段階的に施行されます。また、夫婦共働きの場合の健康保険の扶養の基準を明確化した厚生労働省の通達が21年8月から適用されます。今回は、これらのポイントについて解説します。

現在の育児休業制度は手続きが煩雑

まず、現在の育休制度の概要について、確認しておきましょう。

育児休業は、原則として子どもが1歳に達するまで取得することができます。「保育園に入れず待機児になった」など法律に定められた一定の延長事由に該当する場合は、最長で2歳に達するまで取得できることになっています(「保育園に入れず育休延長に 給付金の受給も延ばすには」)。休業期間は原則分割して取得することはできず、男性に限って子どもの出生後8週間以内に取った場合、特別な事情がなくても再度取得できるという例外があります。

育児休業は、休業開始日の1カ月前までに申し出をすれば、希望どおりの日から休業できます。申し出がこれより遅れた場合は、事業主が休業開始申し出日の翌日から1カ月以内の範囲で指定できるとされています。ただし、1歳以降の休業の申し出は、2週間前までにすれば問題ありません。

また、育児休業は育児のために労務提供義務を消滅させる制度、つまり、育児のために働かなくてよいと認める制度です。だから、たとえば正社員であっても普段のように恒常的・定期的に働かせることは認められていません。例外的に、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間について、一時的・臨時的にその事業主の下で働くことは可能とされています。

こうしたルールはありますが、もっと育児休業を取りやすくするために、柔軟な対応を求める声が挙がっていました。

改正法、出生時育休を創設

6月に成立した改正育児・介護休業法では、男性の育休取得を促進するために、子どもの出生直後の時期において、柔軟な枠組み(出生時育児休業)が創設されました。具体的には、子の出生後8週間以内に4週間までの育休取得を分割して2回まで取得できるようになります。

育児休業の申し出は、原則として休業の2週間前までに短縮されることになりました。ただ、これは職場環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取り組み(具体的な内容は省令で規定される予定です)の実施を労使協定で定めている場合は、1カ月前までとすることも認められています。

さらに、今回注目されているのは、労使協定を締結している場合に限り、労使の個別合意により事前に調整したうえで育児休業中の就業が可能となることです。これまではあくまでも一時的・臨時的でなければ認められなかった点を考えると、代替要員を配することが難しい専門的な仕事をしている方も、取得に対する心理的ハードルを下げられる効果を期待できるでしょう。

育休中の就業に関して想定される流れは以下の通りです。まず労働者が休業中でも働いてよい場合に事業主にその条件を申し出て、事業主はその申し出た条件の範囲内で候補日や時間を提示します。提示内容について労働者が同意した範囲で、育休中の就業が認められる、というものです。

就業可能日などの上限は、今後厚生労働省令で定められることになりますが、今のところ休業期間中の労働日・所定労働時間の半分までとなる見込みです。なお、雇用保険の育児休業給付においては、こうした改正内容が考慮されて見直されます。

これらの出生直後の柔軟な枠組みについては、公布後1年6カ月以内の政令で定める日(22年10月1日見込み、以下同)が施行日となります。

育休取得の環境整備や個別の意向確認が義務化

22年4月1日から、育児休業をしやすい雇用環境の整備に関する措置が事業主に義務付けられます。これは研修をしたり、相談窓口を設置したりするなどが挙げられますが、具体的内容については、複数の選択肢からいずれかを選択する措置となる予定です。

なお、環境整備については、短期の取得ばかりでなく、1カ月以上の長めの育休の取得を望む労働者がいた場合、希望する期間を取得できるように事業主が配慮するように指針で示される予定になっています。

また、妊娠・出産(本人または配偶者)の申し出をした労働者に対して、会社から個別の制度周知および休業の取得意向の確認をする措置が事業主に義務付けられます。個別周知の方法については、厚生労働省令において、面談での制度説明や書面による制度の情報提供などの複数の選択肢が示される予定です。法的な措置義務なので、会社はこのうちいずれかを選択して実施することが必要になります。

女性の労働者自身が妊娠した場合は、当然ながら時期をみて会社に報告することになります。しかし労働者が男性の場合、妻の妊娠について特に事前の報告もせず、出産してから「生まれました」と保険手続きの依頼のために申し出をしていたケースも少なくありません。

ところが改正法によって、男性の労働者も個別に育休取得意向の有無を確認されるようになれば、前向きに取得を検討しようと考えるのではないでしょうか。もちろん、これは会社側の姿勢も大きく影響します。まして育休取得を控えさせるような圧迫面接的な態度はハラスメントにもなりかねません。そうした威圧的な意向確認を認めないようにすることも指針において示される予定です。企業には十分な配慮が求められることになります。

育休の分割取得が可能に 育休取得状況も公表へ

育児休業は原則分割して取得することができませんが、先ほど述べた新制度(出生時育児休業)とは別に、分割して2回まで育休取得が可能となります。分割できることで、さらなる男性の育休取得が期待されます。

現行制度では、保育所に入所できないなどの理由で1歳以降に育児休業を延長する場合、育休開始日は1歳(期間は1歳から1歳半まで6カ月間)と1歳半(期間は1歳半から2歳までの6カ月間)に限定されています。これでは、各期間の開始時点でないと夫婦が交代する形での育休取得ができない(延長期間の開始時点でないと育休自体を取得できない)といった課題がありました。それが1歳以降の延長について開始日が柔軟化されることになりました。この改正によって、各期間の途中でも夫婦で交代して取得できるようになります。

これらの改正における施行日は、公布後1年6カ月以内の政令で定める日となります。

さらに改正法では、従業員1000人超の企業を対象に、男性の育休取得率をはじめとする育児休業の取得状況について公表が義務付けられます。これは23年4月1日から開始されます。公表されるとなれば、各社において相当気合を入れて取得を奨励するようになるでしょう。

契約社員など雇用期間が定められた有期雇用者の育休取得について、現行では(1)引き続き雇用された期間が1年以上、(2)子が1歳6カ月までの間に契約が満了することが明らかでないこと、といった2つの要件があります。22年4月1日からは(1)の期間要件が撤廃されることとなり、(2)のみになります。もっとも改正法でも、引き続き雇用された期間が1年未満の労働者は、労使協定によって適用を除外できることになっています。このため、「どれだけ働き続けていれば育休が取れるか」という条件は、現実には企業により異なってくるでしょう。

共働きの子、夫婦どちらが扶養か基準明らかに

近年、夫婦共働きで子を育てる夫婦共同扶養が増えています。健康保険においては、収入が多い方の扶養とするのが原則ですが、年収がほぼ同じ夫婦の子について、保険者間でいずれの被扶養者とするかを調整する間、その子が無保険状態となる懸念がありました。

そこで、厚労省は「夫婦共同扶養の場合における被扶養者の認定について(21年4月30日保保発0430第2号・保国発0430第1号)」で明確な基準を策定しました。21年8月1日から適用が始まります。

夫婦共働きの場合、子は原則としては収入が多い方の被扶養者となります。夫婦双方の年間収入の差額が1割以内の場合、届け出を提出するだけで、子は主として生計を維持する者の被扶養者となることができます。その他にも具体的な基準が示されました。

男性の育休取得に弾みがつく可能性に期待

子育ては女性がするものだという固定観念は過去のものです。男女が共に力を合わせて子育てができるよう法律の見直しも進められています。ここまでポイントを解説してきました。これらを改めて眺め直した際、今回の改正が「従来より1歩進んだ」と個人的に感じるのは、出生後8週間以内の出生時育休期間中に関して、一定の就業が認められたという点です。

なぜなら、現行制度では「恒常的・定期的」のところでご説明したように、「週2日で1日3時間ずつ」といった働き方は、育休中に一切認められていないからです。これが可能となれば、業務の引き継ぎなどを理由になかなか進まなかった男性の育休取得に弾みがつく可能性が高まります。

ただし、これはあくまでも出生直後の時期における柔軟な枠組みであるため、出生時育休ではなく通常の育休を取る場合は従来どおり、労使の話し合いによる一時的・臨時的な就業に限られる点に注意しなければなりません。

細かな留意点はあるものの、今回の法改正によって、さらに男性の育休取得が進むよう機運を高めていきたいものです。

佐佐木由美子
人事労務コンサルタント・社会保険労務士。米国企業日本法人を退職後、社会保険労務士事務所などに勤務。2005年3月、グレース・パートナーズ社労士事務所を開業、その後グレース・パートナーズ株式会社を設立し代表に就任。人事労務・社会保険面から経営を支援し、親身なコンサルティングで多くのクライアントから支持を得ている。また、出産後も女性が働き続けられる雇用環境の整備をはじめ、女性の雇用問題に積極的に取り組んでいる。著書に「採用と雇用するときの労務管理と社会保険の手続きがまるごとわかる本」(ソーテック社)。新聞・雑誌などメディアで活躍。

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