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コメンテーターの仕事 実はチームプレー(井上芳雄)

第97回

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NIKKEI STYLE

日経エンタテインメント!

井上芳雄です。6月30日に朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)にコメンテーターとして出演しました。5月14日に続いて2回目です。8時~10時25分の生放送に出演して、午後は渋谷のPARCO劇場で『首切り王子と愚かな女』の舞台に立つという忙しい1日でしたが、コメンテーターという新しい仕事に多くの刺激を受けました。

その日は5時くらいに起きて、6時半くらいに日本テレビのスタジオ入り。そして8時からの生放送のあと、渋谷に移動して13時から舞台の昼公演でした。そのころには起きてからだいぶたっているので、昼公演が夜公演に感じられるような時間の感覚でした。

テレビの番組では、司会は経験しているので、また違う立場で番組に関わってみたいと思っていて、コメンテーターにチャレンジさせてもらえることになりました。家では、毎朝テレビをつけているので情報番組を見てはいましたが、特に番組に詳しかったわけではありません。なのでバラエティー番組でのトークの延長線かなというくらいの気持ちだったのですが、実際に出てみると全然違っていました。

基本的には時事ネタを扱うのですが、例えば政治や経済について自分の意見を公にコメントしたことはなかったので、まずそこに緊張しました。そしてバラエティー番組と一番違うのが、放送の直前までネタを吟味していて、決まっていないことがあること。放送の直前にスタッフと、この事件でいきます、と打ち合わせるみたいな感じです。なのであらかじめ準備しようがないところもあって、それに対する緊張もありました。

MCの加藤浩次さんは、どんどんニュースを紹介していき、専門家の意見を聞いたり、コメンテーターに発言を振ったりします。何かを読んでいるわけではなく、全部自分の言葉なのですが、あまりによどみがないのに驚きました。それで急に「井上さん、どう思います?」と振られます。もちろん自分なりに考えていたりはするのですが、それをどう表したらいいのか、即座に言葉にするのはやっぱり難しい。コメンテーターは3人いて、誰が発言するか決まっているわけではなく、その場で加藤さんが振るので、いつ聞かれるか、どきどきします。5月に初めて出たときは、何も分からないので、そんな感じでした。

もちろん僕は政治や何かの専門家ではなく、舞台俳優なので、基本的にはその立場からしか言えないし、それでいいと思います。とはいえ当たり障りのないことを言っても、出ている意味があるのかという気持ちもあったし、無理して何かのメッセージを発信するのも違うなと。じゃあ、どうすればいいのか、あまりはっきり見えないまま、2回目の出演となる6月30日の収録に臨みました。

放送内容は、新型コロナウイルスの感染状況や千葉県市川市の市長室の家具購入費が約1000万円だったというニュース、その日にグランプリが発表される「日本文具大賞2021」の優秀賞作品の紹介、adieu(アデュー)名義でアーティスト活動をしている上白石萌歌さんのミニライブでした。文房具やエンタメの話題はバラエティー番組に近いし、上白石萌歌さんは知っていたので話しやすいなと思っていました。だから前半の時事ネタのところをどう言おうかなと考えながら、スタジオに入りました。

その日のコメンテーターは、評論家の宮崎哲弥さん、元競泳日本代表の松田丈志さん、僕の3人。それでやりとりしていて思ったのは、コメンテーターのほかに専門家の先生も、加藤さんやほかのアナウンサーの方もいらっしゃるので、実はチームプレーだということです。自分の意見はあるけど、どのタイミングで聞かれるか分からないし、僕の前にしゃべった方が同じ意見を言うかもしれない。そしたら、違う角度で意見を言おう。そういう心構えでいた方が、コメントしやすいと感じました。コメンテーターというと、一人一人が自分の意見を主張するという印象が強かったのですが、実はお芝居をしたりフリートークをするのと同じ要素もあって、1つの話題をいろんな角度からみんなで話し合って、それを視聴者の方に伝える場なんだ、ということを発見しました。

まだ2回目なので、それが正解かどうかも分からないですけど、初めて出たときはそんなことを考える余裕すらなかったので、またやれてよかったと思いました。本番以外の時間も楽しくて、加藤さんや松田さんとは、子育てや幼稚園選びの話なんかをCM中や本番後にできて、共通の話題があったのもうれしかったです。

ミュージカル俳優がコメンテーターをやる意味

ミュージカル俳優の僕が、コメンテーターをやる意味や役割を考えてみると、ひとつは自分たちのジャンル、演劇界や音楽界のことはお伝えできると思うんです。例えば、コロナ禍でこういう影響を受けていますとか。でも、それ以外の話題に関して、僕のコメントが世の中にどう役に立つのかは、正直まだよく分からないです。ただ、自分にとっては、すごくプラスになることが多いですね。やっぱり物の見方が変わるので。今まではニュースを見ても、情報として受け取るだけだったし、例えば株の仕組みにせよ円高円安にせよ、よく分からないことがたくさんありました。でも、自分がいつかコメントするかもしれないと思うと、すべてに興味が出てきます。自分が分かっていなかったことを自覚する分、専門家の方々への尊敬の念も強くなりました。

さらに、半分ネタみたいなことですが、舞台俳優の新しい働き方でもあるのかなと。舞台の公演は、昼公演にしても午後からだし、稽古もそうです。だから舞台をやりながら、午前中に別の仕事をすることもできるはずなのです。もちろん朝早く起きないといけないし、緊張もするし、身体への負担はあると思いますが、頑張ればやれないことはない。その意味では、舞台俳優の働き方改革の可能性を示せているのかな。まあ、そんなことは誰も求めていないのかもしれませんが(笑)。

やり方のコツや指針を早く見つける

自分の感覚としては、舞台は劇場に来た人に見てもらうもので、キャパシティーが例えば600人だったら1公演で600人以上の人には見てもらえません。そこが舞台のいいところだし、それが好きで舞台俳優をやっているのですが、一方でキャパ以上に認知が広がるのが難しいジャンルでもあります。舞台を1カ月とかやっていると、よくも悪くもそこに集中して、舞台と家の行き来だけになり、会う人も限られるし、世界が狭くなってしまいます。

そんななかで、コメンテーターのような仕事をやると、現場で会う人も違うし、受ける刺激も違う。僕や舞台のことを知らなかった視聴者の方々に、知ってもらえる機会にもなるし、得るものも大きいと思うのです。だから、舞台もテレビもどっちもできる機会があるのは、すごくいいことじゃないのかな。違うことをやると、使う神経や筋肉も違って刺激になるし、なにより好奇心に勝るものはないという感じでしょうか。

今回のコメンテーターのように、慣れない現場に入るときは、やり方のコツや指針のようなことを早く見つけようと心がけています。今回だったら、実はチームプレーなんだと発見したようなことです。それは誰も教えてくれないので、自分で探すしかないのですけど、見つかるとがぜんやりやすくなります。それは役作りに似ているかもしれないです。この役はどういう人物で、何を大切に生きているのかを探すし、見つかるまでは演じていても、居心地が悪い気がします。でも1個、この人はこれを大切に生きているんだというものが見つかると、全部がうまく流れ始めます。そういう感覚に似ているかもしれません。コメンテーターの仕事にしても、そういう役の自分を演じているといえなくもないですから。チームプレーを大事にする、という指針を見つけて、コメンテーターという役割にもさらに興味が湧いてきました。

『夢をかける』 井上芳雄・著
 ミュージカルを中心に様々な舞台で活躍する一方、歌手やドラマなど多岐にわたるジャンルで活動する井上芳雄のデビュー20周年記念出版。NIKKEI STYLEエンタメ!チャンネルで月2回連載中の「井上芳雄 エンタメ通信」を初めて単行本化。2017年7月から2020年11月まで約3年半のコラムを「ショー・マスト・ゴー・オン」「ミュージカル」「ストレートプレイ」「歌手」「新ジャンル」「レジェンド」というテーマ別に再構成して、書き下ろしを加えました。特に2020年は、コロナ禍で演劇界は大きな打撃を受けました。その逆境のなかでデビュー20周年イヤーを迎えた井上が、何を思い、どんな日々を送り、未来に何を残そうとしているのか。明日への希望や勇気が詰まった1冊です。
(日経BP/2970円・税込み)
井上芳雄
 1979年7月6日生まれ。福岡県出身。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業。大学在学中の2000年に、ミュージカル『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー。以降、ミュージカル、ストレートプレイの舞台を中心に活躍。CD制作、コンサートなどの音楽活動にも取り組む一方、テレビ、映画など映像にも活動の幅を広げている。著書に『ミュージカル俳優という仕事』(日経BP)、『夢をかける』(日経BP)。

「井上芳雄 エンタメ通信」は毎月第1、第3土曜に掲載。第98回は8月7日(土)の予定です。

夢をかける

著者 : 井上芳雄
出版 : 日経BP
価格 : 2,970 円(税込み)

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