性能高まる「ミニPC」 テレワーク時代の選択肢に浮上
手のひらサイズ「ミニPC」購入ガイド(上)
テレワークの普及などで、ノートパソコンの需要が増えている。そうした中、「ミニPC」と呼ばれるパソコンの人気が高まっている。ミニPCとは、インテルのNUC(インテルが推進する据え置き型の超小型パソコンのフォームファクター規格)に代表される、手のひらサイズの小型パソコンのことだ(図1)。
性能アップで人気高まる
インテル以外のメーカーからも、よりコンパクトなモデルなど多種多様な製品が発売されている(図2)。少し前までは小型パソコンといえばローエンドCPU(中央演算処理装置)を搭載した処理性能の低いものが多かったが、今では最新のハイエンドCPUを搭載するものも増え、処理性能とコンパクトさを両立させることが可能になった。その点も、今人気が高まっている要因の一つといえる。
しかし何といっても、ミニPCの最大の魅力はコンパクトなことだ。図3の写真のように、製品によっては液晶ディスプレーの下に設置可能。ほとんどのミニPCはVESA(薄型ディスプレーをアームスタンドなどに固定するための、金具やネジ穴などの位置を定めた規格)マウント取り付けに対応しており、VESAマウントを装備した液晶ディスプレーと組み合わせれば、一体型パソコンのような使い方もできる(図4)。
テレワーク時代に最適
また、本体が小型軽量なので、通勤かばんに入れて手軽に持ち運ぶことも可能だ。本体だけ持ち出して、会社では据え置きの液晶ディスプレーなどと接続して使うこともできる(図5)。
テレワークで大画面の液晶ディスプレーを自宅で使うようになった人には、ミニPCはうってつけだ。本体が小型軽量であることを生かして、「職場も自宅も大画面」といった快適な使い方が実現できる。
さらに、ミニPCには長期間使用できるメリットもある(図6)。モバイルノートPCはメモリーやストレージをアップグレード(増設・交換)できない製品が多いし、本体が無事でも液晶ディスプレーが故障すると使用できなくなってしまう。
一方、ミニPCはメモリーやストレージをアップグレード可能だ。液晶ディスプレーやマウス、キーボードも自由に取り換えることができる。
働き方が大きく変わりつつある今、ミニPCの人気が高まっているのも納得がいく。パソコンを新しくしようと考えている人はぜひ、ミニPCを選択肢に加えてほしい。
ミニPCには完成品とベアボーンがある
ミニPCにはウィンドウズ10もインストールされている「完成品」と、メモリーやストレージ、OSなどを別途購入して組み込む「ベアボーン」がある。それぞれのメリット、デメリットは図7の通りだ。
手軽にミニPCを使ってみたい人には完成品がいいだろう。性能や品質にこだわって理想の1台を実現したい人にはベアボーンが適している。
ミニPCは主に搭載するCPUによって価格が異なる(図8)。メールやインターネット、ネット動画視聴などの日常用途ができればいいというのであれば、CeleronやPentiumを搭載する製品でよいが、仕事でも趣味でも活用したいならCore i3以上のCPUを搭載するものを選びたい。
(ライター 滝伸次)
[日経PC21 2021年9月号掲載記事を再構成]
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