ルール説明も雰囲気抜群

VRによる没入感は、食事前から堪能できる。入店して席に着くと、黒ローブを身にまとい魔術師に扮(ふん)したスタッフがVRゴーグルをセットしてくれる。すると目の前の景色が、レストランから一変する。いつの間にか神殿を彷彿(ほうふつ)とさせる建物の中にいる。天井は高く、ステンドグラスがあしらわれており、RPGらしい雰囲気は抜群だ。自身の姿も、勇者へと変わっている。

そのVR空間に、魔法使いなどのキャラクターに扮した他の参加者も集められる。その後、レストランの支配人から食事のルールについて説明を受けるという流れだ。

VRゴーグルを装着すると目の前の景色は一変。支配人がルール説明をしてくれ、冒頭からRPGの世界観を楽しめる

ルールはこうだ。VRの世界観に没入しながら、リアルではコース料理として「僧侶の気まぐれサラダ」「スライムスープ」「天空のステーキ」など全6種類の料理が一品ずつ運ばれてくる。それぞれ一口ずつ試食し、RPGに出てくるどの食材が使われているか、AかBの二択で回答する。正解すれば、VR上で部屋の扉を開いて支配人が入ってくる。不正解だと、支配人からグレードダウンの魔法をかけられ、自身の見た目が弱々しくなっていく。

回答を選択する前に支配人が他の参加者に料理の感想を尋ねてくるため、それを参考に答えを出すこともできる。ただ食事をするだけではなく、格付けゲームとなっているのが特徴だ。

RPGの食材の味やいかに

ルール説明を受けた後、待望の食事が始まる。VRゴーグルの装着で手元が見えないため、支配人の合図で口を開くと、スタッフがスプーンで一口大の料理を食べさせてくれる。スライムスープや天空のステーキといった未経験の「RPG料理」をこれから食べる高揚感と、視覚を奪われどんな料理を食べているのか分からない状態とが入り混じり、参加者のドキドキ感をかきたてる。

スタッフが料理を食べさせてくれる
VRゴーグル内では料理とスプーンの映像が流れている

ここではデザートの「雷魔法のタルト」を例に、出てくる料理をリポートしてみよう。このタルトは「雷」の名の通り、口に含むとまず「パチパチ」と弾ける食感が味わえる。パチパチ触感からはキャンディー菓子を思わせるが、未経験の味だ。どのような食材を使って作ったのか、見当がつきそうでつかない。

RPGレストランの料理。使われている食材の想像がつかない、独特の味わい

そうした食材の味わいは、まさに企画者の狙い通りでもある。Psychic VR Labの浅見氏は、「VRゴーグルをしていて視覚からの情報が得られない分、擬音で表現しやすい味にこだわった」と話す。

タルト以外では、薬草もシャキシャキした食感が特徴的だった。味を表現しやすいことで、参加者同士の会話の糸口にもなる。また、参加者が結局、現実世界ではどの食材を食べたのか分からないまま進行するのもポイントだ。「RPGの食材を味わうこと自体が参加者にとって初体験のこと。『あれはピーマンだった』などと分かってしまってはつまらない」(浅見氏)

最終的に、記者は5問中2問しか正解できず、グレードダウンの魔法を度々かけられてしまった。勇者らしい帽子や衣装などの装備がどんどんなくなっていき、RPGキャラクターの華やかさが感じられない見た目に……。これがなかなかこたえる。

こうして最終成績が発表され、正解数に応じてマグカップや金貨のデザインのチョコレートといったお土産をもらえる。記者のチョコレートは心なしか他の参加者よりも少なく感じられた。イベント終了後には、RPGレストラン内のフォトスペースで剣を持って写真撮影もできた。

ゴールドのマグカップや金貨をイメージしたチョコレートなど、持ち帰れるお土産もRPGをイメージしたものになっている
次のページ
RPGレストランの今後
MONO TRENDY連載記事一覧