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答えと解説

正解(プラークの説明として間違っているもの)は(2)プラークは食べ物のカスの塊である(4)プラークはうがいだけで大半が除去できる です。

意識している方は少ないかもしれませんが、実は「虫歯」は感染症の一種です。歯の表面や歯と歯の間にたまる白いネバネバしたものを「プラーク(歯垢〔しこう〕)」といい、その正体は無数の細菌の塊。このプラーク中の細菌が虫歯を引き起こします。細菌は砂糖などに含まれる糖をもとにして「酸」を作り出しますが、この酸が、歯を溶かし(脱灰〔だっかい〕)、穴を開けるのです。

プラークにすむ細菌が悪さをするという点で、虫歯は、細菌が歯茎や歯を支える骨を溶かす「歯周病」と共通しています。

「つまり、虫歯も歯周病も、プラークがなければ発生しない感染症なのです。歯科医がいくら歯の治療をしても、日々のプラークコントロールをご自身でしていただけないとその治療効果は無駄になってしまう、と言っても過言ではありません」と、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科高齢者歯科学分野教授の水口俊介さんは強調します。

「プラーク」と「歯垢」「歯石」との違いは?

プラークは、ただの食べかすだと思っている方も多いようですが、実はそうではなく、前述した通り、「細菌とその代謝物の塊」のことで、「歯垢」ともいいます。虫歯や歯周病、また口臭の原因にもなります。

プラークは、歯の表面にくっついた虫歯原因菌が、糖を分解して作られます。食後8時間程度でできるといわれ、放置すると石灰化し、石のように硬い「歯石」となります。歯石となってしまうと歯ブラシでは取り除けません。

プラーク1mgの中には約1億個の細菌が存在します。そして、その中の虫歯原因菌が酸を産生して歯を溶かすのが「虫歯」。一方、プラークが歯と歯茎の境目にたまると、歯周病菌が歯茎の奥深くまで繁殖し、歯周病菌の作り出す毒素により歯を支える歯周組織が溶かされます。それが「歯周病」です。

プラークは粘着性があり、うがいだけでは除去できませんが、約8割が水分なので歯ブラシの毛先が当たれば容易に除去できます。だからこそ、長時間プラークを付着させないよう歯ブラシや歯間ブラシなどで取り除く、こまめな「プラークコントロール」が有効なのです。

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プラークを落とす歯磨きのポイント