『時をかける少女』もそうですが、何回も映像化されている物語を時代を変えて描くのは大きな意味があります。同じ骨格で何が変わったのかを描くことで、世の中の変化が見えてくるからです。昔の作品と同じなら、何も現代を見ていないということ。クリエーターとして、それではダメなんです。

もちろん、これまで作ってきた作品からの連続性もあります。例えば『デジモン』『サマーウォーズ』の流れからインターネットをモチーフとすること。『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』の現代における家族の変化。そして『時かけ』以来、15年ぶりに高校生の女の子が主人公です。17歳の少女を描くことで、青春や恋愛だけでなく、同世代や世代が異なる女性の関係性も表現したいと思いました。

例えばうちの奥さんにもママ友の人間関係が、娘にも幼稚園での人間関係がある。なので、主人公の世話を焼く親友のヒロちゃんや全く異なる立ち位置のルカちゃんといった存在や、クラスの環境も描かなければいけない。――そもそも昔の恋愛映画にカースト制なんて言葉はなかったですが、“スクールカースト”とか言われ出したあたりから、クラスのなかでおいそれと恋愛できない状況が発生しているんですよね。

すずとしのぶくんの関係にも垣間見えますが、そんな状況に追い込まれる。昔も近いことがあったでしょうが、SNSでそれがより顕著になって叩かれたり。そんな大変な時代に生きているんですよね」

◇  ◇  ◇

来週公開の後編では、現実の世界の舞台に高知県を選んだ理由や、世界中のクリエーターたちと協力した効果などを聞く。

(ライター 波多野絵理)

[日経エンタテインメント! 2021年8月号の記事を再構成]

●日経エンタテインメント! 2021年8月号総力特集
細田守監督最新作『竜とそばかすの姫』
スタジオ地図の10年と未来


【スペシャルロングインタビュー】
細田守「最新作『竜とそばかすの姫』その根底に流れるものとスタジオ地図の10年」
【研究】
葛藤とチャレンジ 『竜とそばかすの姫』が生まれるまで
【キャストインタビュー】
中村佳穂(主人公・すず/ベル)
成田凌(しのぶくん)
染谷将太(カミシン)
玉城ティナ(ルカちゃん)
幾田りら(ヒロちゃん)
【スタッフインタビュー】
常田大希(メインテーマ『U』)
岩崎太整(音楽監督)
川村元気(プロデューサー)
齋藤優一郎(プロデューサー)
エリック・ウォン(プロダクションデザイン/英国)
カートゥーン・サルーン(コンセプトアート/アイルランド)
ヨハン・コント(インターナショナルセールス担当/フランス)
【詳細解説】
スタジオ地図10周年
時をかける少女/サマーウォーズ/おおかみこどもの雨と雪/バケモノの子/未来のミライ

日経エンタテインメント! 2021年 8 月号【表紙: 竜とそばかすの姫】

著者 : 日経エンタテインメント!
出版 : 日経BP
価格 : 840 円(税込み)


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