2021/7/21

安藤先生 そんなに落ち込まないでください。これは勝ち負けの問題ではありませんし、ライバルを上回らなければ採用されないという意味ではありません。数人しか採用しない場合は別ですが、一定規模以上の企業の場合には、それなりに多くの人を採用するわけです。そして同じような人ばかりを選ぶわけではなく、採用する際には人材ポートフォリオを考えます。

蒼太 ポートフォリオですか?

安藤先生 ポートフォリオとは、元は書類を挟んでおくフォルダのことを指します。それが分野によって、例えば金融業界では複数の資産をどう組み合わせるかという資産構成の意味で使われますし、クリエイターにとってはこれまでの実績や制作物をまとめた作品集の意味になります。ここでは企業が様々なタイプの人材をバランスよく採用するという意味です。

蒼太 なんとなく、わかりました。

志望企業において、どんな学生がライバルになるかを考えることも重要(写真はPIXTA)

安藤先生 企業は様々な人材を必要としています。同じ企業に、他にどんな学生が応募するのかを考えて、自分がその会社に加わるとどのような面で貢献できるのかを考えるためにも、ライバルについて知っておくことには意味があります。

蒼太 建築学科を出た学生じゃできないことを考えて、他の面で活躍できるってことをアピールすればいいということですね。

安藤先生 その通りです。今回、南さんが書いてくれた理想的な自己PRで良いところが2つあります。1点目は、具体的なエピソードが述べられていることによって、説得力があります。

2点目は、「お客様の要望を徹底的に聞く」「チームのために自ら率先して動く」といった行動特性や人間性が明確になっていることです。つまり、企業の視点からすると、この学生を採用したらどのような形で活躍してくれるのかが想像できるわけです。

蒼太 自分で書いておいてなんですが、僕もこんな学生になれたら自信を持って就活に臨めそうです。

安藤先生 この取り組みのもう1つの意味は、「これから何をすればよいのか?」を考えるきっかけになるということです。理想的な人物を具体的に想像したことで、自分には何が足りないか、どの部分を向上させることが必要なのかを把握することができたはずです。

それでは南さん、実際の就職活動が始まるまであと約半年もあります。理想の自分に近づくために、その間に何ができるか考えてみてください。そして実際に行動に移しましょう。

蒼太 はい。来年の就活本番までに、理想に近い自己PRを書けるように、何をやればいいかを考えてみます。

理想の自己PRから、今後できそうなことを考えてみる

安藤先生 それではもう少し時間があるので、これからやることを具体的に考えてみましょうか。

蒼太 え、今ですか!?

安藤先生 はい、今です。5分間くらいで、思いついたことを書いてみてください。

(10分後)

蒼太 うーん、とりあえずできそうなことを書き出してみました。まず、あと半年で理想の自己PRに書いてみた「お客様の要望を徹底的に聞く」「チームのために自ら率先して動く」人間になるために、そしてそのことを会社に伝えられるような実績を作るために次のことを考えました。

<これから半年でできそうなこと>
(1)環境政策ゼミでの取り組み
・このコロナ禍でゼミ生の情報共有が薄れているので、オンライン上でゼミ生同士が気軽に情報交換できる場を作る。そのために無料で使えるものがないか探して提案する。
・ゼミの研究活動を頑張る。毎年やっている小学生向けの講座「環境問題を学ぼう」のリーダーに立候補する。それをきっかけに「これが専門です」と人に言えるように研究も頑張ってみる。
(2)課外活動
 高校から続けている野球はできるだけ続けて、チームワークを大切にするということを実践する。
(3)アルバイト
 居酒屋のバイトはコロナ禍で経営が厳しいみたいなので、テイクアウトメニューの呼びかけや正しい衛生管理をして安全をアピールすることで、売り上げに貢献する。

正直、自分の理想で書いた「賞をとる」というようなことには及ばないですけど、あと半年でできそうなことや、これからも続けたいことはこれくらいかなと思います。

安藤先生 いいですね。この中で南さんにとって、最も大きなチャレンジはなんですか?

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