2021/7/27

午後のピークはナゼ生じるのか?

深夜帯に居眠り運転が多いのはよく理解できる。では2つ目の午後のピークはナゼ生じるのか? このコラムを愛読していただいている方はすぐにピンとくるだろう。そう、午後2時~4時は眠気が強くなる時間帯として知られているのだ。

イラスト:三島由美子

午後2時~4時はシエスタの時間帯である。日本では昼寝といえばお昼休み中の短時間の仮眠をイメージすることが多いが、「1時間超える昼寝は危険 シエスタは短めに」でも解説したように本場スペインのシエスタでは午後1時ごろから2~3時間ほど長めの休憩を取ることが多い。

これは生理的にも理にかなっている。人の眠気の強さの日内変動を特殊な方法で測定すると、深夜帯の大きな眠気の高まりとともに、午後2時~4時にかけて眠気の第2のピークが訪れるのである(ああ眠れない…そこは「睡眠禁止ゾーン」だった)。シエスタはまさにその眠気を合理的に解消するスキルであると言える。交通量が比較的少なくなる午後の時間帯に居眠り運転事故が多くなるのも、この第2の眠気のピークに原因の一部があると言われている。

車社会の米国では、以前から眠気による交通事故が日本以上に問題視されており、眠気をもたらす睡眠障害とその治療についていくつもの取り組みが行われている。その中から2つほど話題を提供しよう。

まず、一部の睡眠薬を服用した翌朝に交通事故リスクが高まることが明らかになり、起床時刻まで4時間を切ったら服用しないように米食品医薬品局(FDA)から注意勧告が出された。その睡眠薬は作用時間が短い、つまり翌朝への影響が少ないと考えられていたため、夜中に目が覚めたときに追加服用している人も多く、私たち専門家にとっても意外な印象を受けた。血中濃度がかなり低くなっても運転技能など高度な作業能力を低下させる影響は残存するのだろう。

誰にも起こる『危険運転』 睡眠不足は飲酒に近い」でもご紹介したが、日本でも13年に自動車運転処罰法(正式名称「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律」)が改正され、睡眠薬など眠気の出る薬を服用し、その危険性を十分に知っていながら対策を取らずに居眠り運転で人身事故を起こした場合、運転者は死亡事故で最高懲役15年、負傷事故で最高懲役12年の刑罰が科せられる可能性がある。不眠症治療のために睡眠薬を服用しなくてはならない人で運転もしなくてはならない人は、正しい服用法を心がけましょう。

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