――コロナショックでもっとも大きな影響を受けたのがサービスや飲食です。それでも果敢に新規開業を続けていますね。

「オーナー経営者として命がけで取り組んでいます。2、3年前から開業を計画してきた施設は、パートナー企業も『やろう』と言ってくださって、20~21年の新規開業は6~7件にもなります。うちが得意とするスモールラグジュアリーは最高の場所、クリエーティブなデザイン、おもてなしがポイント。20室あればすべてが異なるデザインで、1年に1回行くなら20年通っても飽きない。そんな究極の満足感を提供する施設で、ポストコロナを乗り越えていきます」

日本でいち早くスモールラグジュアリーリゾートを開発。「特に力を入れているのが料理です。一流レストランを楽しむ富裕層の舌を満足させる宿泊施設はまだ少ないですから」

「皆に見せる」じゃない装いもすてき

――休暇のスタイルも時代とともに変わりますよね。どんな傾向が出ていますか。

「『ふふ』などのスモールラグジュアリーリゾートで評価していただいているポイントの1つが、プライバシー性です。(インタビューの場である)こちらのフランス料理のレストラン『プレーガトウキョウ』もプライバシーを重視しています。いままでのレストランは豪華なエントランスで、いらっしゃいませと皆で出迎えて、フロアの視線を集めながら舞台を歩くように席に向かう。着飾ったお客様もインテリアの1つ。それもウエスタンスタイルの良さなのですが、日本のお客様が好きなことはなんだろうと考えると、皆に見ていただくファッションというよりは、『あなたに見てもらいたい』ファッションなのではないかと思うのです」

リモワのトロリーも黒。キャスターの赤がきいている

――どうだ、というおしゃれではなく、プライベートな相手との心地よい装いや空間が求められているのでしょうか。

「ラグジュアリーな格好なのですが、上から下まで有名ブランド、という人は少ないです。皆さんに見てもらうわよ、という感じではなくなっている一方で、最近はほんとうに、すてきだなあと感じる人が増えています。コロナ禍では流行に流されず、ほんとうに自分の好きなものを買う、という本来の姿に戻っているのではないでしょうか」

(聞き手はMen's Fashion編集長 松本和佳)

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