そのワケを聞くと、「昨年来のコロナ禍が背景」と横尾支配人は明かす。もともとこの店は夜のみの営業だった。ところが、コロナ禍に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発令で、営業時間の短縮を余儀なくされた。その打開策として、昼間の時間帯も営業を決断、その目玉に据えたのが、かき氷だった。

「パンケーキやアフタヌーンティーセットなども候補に上がりましたが、うちは日本料理店。かき氷は和テイストなイメージで、店の周囲にかき氷専門店もないため、これでいこうと決めました」(横尾支配人)

以来、調理長や店のスタッフらも協力し、分担して東京都内のかき氷専門店などをいくつも調査。その上で、なだ万オリジナルのかき氷メニューの開発・試作を約1カ月重ね、「おいしさと美しさを両立させたかき氷」を完成させた。

かき氷をベースにした土台の側面や上部に生クリームでデコレーションしていく

素材を吟味し、ソース類が自家製なのはもちろん、かき氷の器にも老舗ならではのこだわりがのぞく。氷のショートケーキ以外のかき氷メニューに「自家製ジンジャーティー」をセットにしたのは、氷で冷えた体を新ショウガで作ったお茶で温めてもらう「おもてなしの心」に他ならない。

雪うさぎの「コーンポタージュかき氷」は「お食事系」の新感覚かき氷だ

かき氷には何でも合う?!

しょうゆで味付けしたトッピングのしゃきしゃきコーンと練乳の甘さがマッチした「コーンポタージュかき氷」を今年、期間限定でメニューに加えたのは「雪うさぎ」(東京・世田谷)。東急・田園都市線の駒沢大学駅と桜新町駅から徒歩圏の駒沢3丁目に店を構える。隣のそば店でデザートとして提供していたかき氷が人気を呼び、2014年に独立・開業した。今では通年で営業するかき氷専門店の名店の一つとして知られる。

雪うさぎのかき氷の特徴は、何といっても口の中で雪のようにスーっと溶けていくフワフワ食感。店主の小沢聡さんは、かき氷と合わせる素材やシロップについて、これまで様々なチャレンジを重ねてきた。フルーツを手始めに、次はゴボウやジャガイモといった野菜類、さらにはカレーやしょうゆ、味噌や香辛料、お酒まで幅広く試してきた。その結果、かき氷にどれを合わせても「おいしいものができる」確信を持つに至ったという。

「お食事系」にジャンル分けされる、雪うさぎの「コーンポタージュかき氷」(935円)には、ポッカサッポロフード&ビバレッジの「じっくりコトコト冷製コーンポタージュ」(缶入り)を使っている。缶を開けて、ポタージュスープとコーンの実とに仕分けし、スープには練乳と牛乳を加え、コーンの実はしょうゆで味付けしている。ポタージュスープをベースにしたシロップとかき氷をうまく合わせながら、最後にホイップクリームをかけ、上からコーンの実をトッピングして出来上がりだ。

かき氷専門店の名店の1つ、雪うさぎは通年で営業している

店によってかき氷の形状が違うことがある。雪うさぎのかき氷は円柱状に近い。「てっぺんの真ん中付近をまずはスプーンでほじって一口食べ、その後、周囲の氷を中心付近に倒しながら食べ進める。そうすれば、周囲に氷がこぼれ落ちる心配もない」と上手な食べ方を伝授してくれた小沢さん。最後は「ストローで皿の底付近に残ったシロップや氷水を飲み干す。だってポタージュですから」(小沢さん)。どうやら、これがこのメニューの味わい方の流儀らしい。

トッピングだけでなく、かき氷の内部にもコーンの実が入っているので、そのあまじょっぱさが、シロップの甘さと絶妙に絡み合い、大人の味で、たまらない。口の中で優しく溶ける氷のフワフワ感もくせになりそうな食感だ。

他にも今シーズンは「柑橘(かんきつ)ヨーグルト~エスプーマ仕立て~」(1210円)や「トリプルマンゴーヨーグルト」(1375円)などお食事系以外にも魅力的なかき氷がラインアップして、来店客を魅了する。

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コク出すために隠し味に知恵絞る
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