セールスフォース、「平等」で革新生む 人材獲得もセールスフォース・ドットコム日本法人の小出伸一会長兼社長(上)

2021/7/14
セールスフォース・ドットコム日本法人の小出伸一会長兼社長(写真:吉村永)
セールスフォース・ドットコム日本法人の小出伸一会長兼社長(写真:吉村永)

顧客情報管理の米セールスフォース・ドットコムは「平等」を重視し、ジェンダーや人種などによって待遇や機会の差別をしない環境づくり、特に賃金の平等に力を入れている。働き方改革に詳しい相模女子大学大学院特任教授の白河桃子さんが、日本法人の小出伸一会長兼社長に聞いた(以下、2人の敬称略)。

イノベーションの土壌となる「平等」

白河桃子さん(写真:吉村永)

白河 御社は米国に本社を置くグローバル企業ですが、「平等」に力を入れていると知り、関心を寄せています。近年、ESG(環境・社会・企業統治)関連では特にジェンダー間の賃金格差解消の取り組みが投資の指標にもなっています。そうした取り組みが、なぜこれからの企業経営に重要になっていくのか、伺いたいと思います。その前にまず、御社の事業やコアバリュー(中核的価値)について教えてください。

小出 ご注目いただき、ありがとうございます。私たちは1999年の創業以来、企業と顧客をつなく顧客管理ソリューションとしてクラウド型のアプリケーションやプラットフォームを提供しています。日本法人の設立は2000年で、現在の従業員数は約2700人です。おかげさまで業績は右肩上がりで、「働きがいのある会社」ランキング(GPTWジャパン)でも上位を獲得しています。

「平等」は、私たちが大切にする価値観として掲げる4つのコアバリュー(「信頼」「カスタマーサクセス(顧客の成功)」「イノベーション」「平等」)のうちの1つです。そしてこれら4つはすべてがつながっており、一体化して意味を成しています。

この4つについて、もう少し説明します。まず、ビジネスを推進する上でベースになるのが、製品を通じてお客様との「信頼」関係を築くこと。それに欠かせないのが「カスタマーサクセス」で、お客様のビジネスが成功することです。私たちは(顧客情報管理のための)クラウド型のアプリなどを提供しています。お客様に長く継続的に使っていただくことで成立するビジネスモデルです。つまり、お客様の生産性が上がり、成功体験をしていただくことが、私たちの成果の指標となります。

お客様の成功や成長を支援する上では、常に私たちの変革する姿勢が問われます。例えば、アプリを使っていてしょっちゅうバージョンアップ作業が必要だと、なかなか本来の業務に集中できませんよね。そういったことでお客様を煩わせることがないようにするくらい、開発力を磨き続けていく。これが「イノベーション」を掲げている意味です。このイノベーションを起こすだけの発想力や創造力を育む土壌となるのが「平等」ということになります。多様性や個性を尊重する環境があってこそ、イノベーションは活性化される。だから、平等は重要な価値なのです。

白河 「多様性や個性」が大切なのですね。同じ発想や価値観を持つ人ばかり集めた、いわゆる「同質性」の高い組織では、「早く、正確に」といった効率性は高まるでしょう。しかし、それでは新しいものを生み出しやすい環境とは言えないということですね。

小出 はい、異質なものの組み合わせがイノベーションを生むといわれている通り、多様性や個性を認め合う環境がユニークな融合を可能にするはずです。「なぜIT(情報技術)企業(のセールスフォース)が『平等』を重視するのか」というお尋ねへの答えは、ここにあります。

加えて、平等を約束することは人材獲得という経営戦略上も欠かせません。優秀なタレント(資質・才能を持つ人)を採用し、活躍してもらうためには、やりがいと納得感をもって働き続けられる環境を整えないといけない。そうでなければ、簡単に他社へ行かれてしまいますから。

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