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単身高齢化で変わる葬儀 「自分で手配」を官民が支援

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NIKKEI STYLE

6月に発表された2020年の国勢調査で、東京都の1世帯当たりの人数は全国で初めて「2」を割りました。高齢化や未婚化も相まって、単身で最期を迎える人が今後増える見通しです。身寄りのいない人も希望通りの葬儀を執り行えるよう、支援事業を始める自治体も出てきました。家族などに頼らない葬儀のあり方について官民の当事者に聞きました。

神奈川県横須賀市は15年から独り暮らしの高齢者が葬儀や納骨を市に託せる事業を始めました。低所得で資産の少ない市民に限り、26万円を支払えば葬儀社と生前契約を結べるようにしたのです。事業に登録した市民が亡くなると市は契約通りに葬儀などが執り行われたかを見届けます。20年度までに78人が登録し、25人を見送りました。

横須賀市が事業を始めた背景には、親族など引き取り手が現れず、市に寄せられる「無縁遺骨」の増加があります。無縁遺骨は20世紀中は年10~20体にとどまっていましたが、21世紀に入ると急増し、近年は50体を超えるようになりました。市で独り暮らしの高齢者は1万人を超え、今後も増える見通しです。同市福祉専門官の北見万幸氏は「ゆくゆくは引き取り手のいない遺骨がゼロになるようにしたい」と話しています。

新型コロナ下の20年度も事業への相談は248件と前年の2.5倍に増えました。同市で高齢者などの後見人を務める行政書士の小林浩悦氏は「低所得の単身高齢者にとっては行政に死後を託せる事業の存在は心強い」と評価していました。

神奈川県大和市や静岡県熱海市も高齢者が葬儀社と生前契約を交わせる事業を始め、それぞれ2桁の市民が登録しています。一方、神奈川県綾瀬市や宮城県多賀城市は登録がゼロにとどまります。事業を手掛ける自治体の担当者が「単身高齢者を支援したいが、情報が届いていない」と頭を悩ませるケースもあります。

新型コロナで人の密集を避けるため、葬儀をせずに病院や自宅から火葬場に遺体を直接運ぶ「直葬」も広がっています。神奈川県鎌倉市の鎌倉自宅葬儀社は6月から、葬儀社を介さずに火葬までを終えるための助言事業を始めました。5万5千円を支払うと、遺体への処置や火葬場の手配についてオンラインで助言が得られるという内容です。同社の馬場偲氏は「なるべく費用をかけずに、自力で死者を見送ろうというニーズに応えたい」としています。

葬儀の簡素化により、死者との関係は今後どうなるのでしょうか。葬送の現場を長く取材してきた作家の井上理津子氏は「葬儀の本質は故人の在りし日の姿を家族などが聞くことにあると思う。技術の変遷などがあってもその本質だけは残るだろうし、残ってほしい」と話していました。

作家の井上理津子氏「葬儀の意味は時間かけて気づく」

参列、香典は辞退します――。家族葬や直葬の広がりで、故人をしのぶ場は年々縮小する傾向にあります。簡素化の流れはどこまで進むのでしょうか。「葬送の仕事師たち」などの著書で知られる作家の井上理津子氏に聞きました。

――最近の葬儀事情をどう見ていますか。

「葬儀の小規模化が新型コロナでさらに進んだ感がある。オンライン決済を利用して香典を送るなど、IT(情報技術)を葬儀に持ち込む流れも加速している。合理的な側面もあるが、違和感もある」

――どんな違和感でしょうか。

「香典であれば、葬儀に行けないときは現金書留を送り、手紙を添えるなどしてきた。そこには煩わしさもあるわけだが、その煩わしさも1つの文化なのだと思う」

――その文化にはどんな意味があるのでしょうか。

「人が亡くなり、縁があった人が集まる。葬儀の場は遺族にとって、故人の在りし日の話を聞く最後のチャンスでもある。話を聞くことで悲しみが癒やされ、自らが知らなかった故人の一面にも触れられる。そうした営みが生きる支えになるということに、最近になって気がついた」

――どうして気づいたのですか。

「母が亡くなって2年後、生前に仲良くしていた人の家を訪ねたことがあった。そこで私がティーカップを手に取ると、その人は『そのしぐさ、お母さんにそっくり』と言ってくれた。自分が母から引き継いだものがあるのだと思うと、とても癒やされた。そうした経験を経て、葬式ってよいものだと思うようになった」

――今後、葬儀のあり方はどうなっていくでしょうか。

「高度成長期のような過度に煩わしい葬式への反動として、家族葬などが普及してきたのだと思う。昔に戻ることはありえない。これからの葬儀は型にはまることなく、故人の話を聞くという葬儀の本質だけが残るだろうし、残ってほしい」

(高橋元気)

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