まずは介護休業・介護休暇を
たいていの場合、介護は突然やってきます。そうするとあわててしまい、公的介護保険の使い方もわからないうちに離職してしまうケースが珍しくありません。
介護離職というと、介護度が重くなってするものと思うかもしれませんが、実際には、介護が始まって1年以内に離職する人が約半数で、介護が必要になってすぐに離職した人も1割以上いるというデータがあります。
介護が始まるときは、要介護認定の申請やケアプランの作成、介護事業者との契約、あるいは施設探しや入居手続きなどが必要で、そのために仕事を休まなければならないこともあるでしょう。でも、それが一段落して介護サービスを利用するようになったり施設に入所したりすれば、介護する人の負担は減るのが一般的です。
ですから、介護が必要になったからとあわてて離職しないことがとても大切です。介護が始まって手続きなどのために仕事を休むのであれば、「介護休業」や「介護休暇」という制度を使いましょう。
「介護休業」は家族を介護する労働者が対象で、パートやアルバイトなどでも、入社1年以上などの要件を満たしていれば取得することができます。
対象となる家族は配偶者、父母、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹などで、対象の家族1人につき3回まで、通算93日まで休業することができます。
「介護休暇」も対象となる家族は同じで、日数は対象家族が1人の場合は年5日まで、2人以上の場合は10日まで、1日単位あるいは時間単位でとることができます。
介護休業をとり、その間に給与が受け取れなかったり減ったりした場合には、雇用保険から「介護休業給付」が受け取れます。
介護休業開始2年前に雇用保険の被保険者期間が12カ月以上あることがまずは要件で、受け取れる額は休業開始前の賃金日額の67%です(賃金日額には上限があります)。
休業中に賃金が支払われる場合、それが休業開始前の賃金の80%以上だと給付はなく、13%超80%未満のときは賃金額に応じて給付が減額されます。
1人で抱え込まないことが大切
親が要介護になると、「自分が介護しなければ」と1人で抱え込む人が多く、仕事との両立をあきらめがち。でも、介護離職すると自分の老後資金が足りなくなります。
介護に関しては、公的介護保険のほかに、多くの自治体が独自のサービスを提供しています。また介護をする従業員のために企業が支援制度を設けていることもあります。
親の介護が必要になったときは1人で抱え込まず、使える制度はすべて使い、周囲の人の力も借りながら介護と仕事を両立させること、そして極力介護離職しないということを心に留めておいてください。
