星空の移り変わり

地球が太陽の手前を横切る様子が見える恒星を特定するため、カルテネガー氏とファハティー氏は、10億個以上の恒星の動きを監視している欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」のデータを調べた。

地球が見える可能性のあるすべての天体は、地球が太陽のまわりを公転する平面と正確に一致した面内を回っている。この面は一般に黄道と呼ばれ、今回の研究では「地球トランジットゾーン」と呼ばれている。黄道より少しでも上や下にずれていると、太陽の手前を横切る地球の姿は見えない。

カルテネガー氏らは、現在黄道上にあり、地球から約300光年以内の距離にある恒星を1402個特定した。そして、星空の動きを早送りしたり巻き戻したりして、時間の経過とともにこれらの恒星がどのように移動するかを調べ、地球を観測できる位置に移動する恒星を特定した。

夜空の星の位置関係は変化しないように見えるが、常に変化している。例えば、こぐま座α星のポラリスは現在の北極星だが、数千年前にエジプトやバビロニアや中国の観測者が天球図を描いたときには北極星ではなかったし、今から2000年後にも北極星ではなくなっている。

研究チームによると、これらの恒星のほかに、過去5000年間に313個の恒星から太陽の手前を横切る地球が見え、今後5000年間に319個の恒星から同じ光景が見えるようになるという。

カルテネガー氏は、「こうした恒星が地球を観測できる位置にある期間がどのくらい続くのかを調べるのは面白い研究でした」と振り返る。多くの恒星は、少なくとも1000年間は地球を見つけられる位置にある。「さらにそのうちの多くが、1万年以上地球を見つけられる位置にあります。かなり長い期間です」

これらの恒星のうちの7つは系外惑星をもつことがわかっている。なかには岩石惑星をもつを見られるものもある。カルテネガー氏らは、岩石惑星の割合についての知見をもとに、自分たちが調べた範囲には少なくとも508個の居住可能な惑星があり、そのうちの29個が地球から発信された電波を検出できる近さにあるとしている。

この100年ほどの間、私たちは宇宙に向けて電波を発信してきた。テレビ放送のように微弱な電波は、はるかかなたの惑星にいる宇宙人にはなかなか検出できないだろう。しかし、強力なレーダー機器が発する強力な電波なら容易に検出できるはずだ。

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