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宇宙人は地球をすでに発見済み? 候補は2034の恒星

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ナショナルジオグラフィック日本版

太陽系の外にある恒星の手前を惑星が横切ると、恒星が少しだけ暗く見える。この現象を利用することで、これまでに数千個の系外惑星が発見されている。過去10年間の観測から、銀河系では恒星よりも惑星の方が数が多く、生命が存在しうる惑星がたくさんあることもわかってきた。

今、天文学者たちは、逆の立場からこの現象を考えている。

米コーネル大学のリサ・カルテネガー氏は、「太陽の手前を地球が横切るときに太陽が暗く見える現象を利用して、地球の存在を確認できる恒星はどれか?」と考えた。そして、2021年6月23日付の学術誌「ネイチャー」にその答えを発表した。

系外惑星の大半は、恒星の前を通過する惑星を探す「トランジット法」によって発見されてきた。この手法は驚異的な成果をあげているが、地球から見たときに恒星の前を横切らない無数の惑星を見逃している。同様に、太陽を観測する宇宙人も、地球が太陽の光を遮るような位置にいなければ地球を発見することはできず、恒星どうしの位置関係が変化すれば、地球が見える位置も変化する。

「宇宙はたえず変化しているので、宇宙人の視点も時間とともに変化します。私は、宇宙人が地球を見つけるのに適した期間がどのくらいあるのか知りたいと思ったのです」と、カルテネガー氏は言う。

カルテネガー氏は、アメリカ自然史博物館の上級科学者ジャッキー・ファハティー氏と共同で計算を行い、太陽系の近くにある2034個の恒星のまわりにいる宇宙人は、5000年前から5000年後までの1万年間のいずれかの時期に、太陽の手前を横切る地球の姿を見ることができると結論づけた。

また、生命が居住できる惑星のうち、地球が太陽の手前を横切るのを見ることができ、人間が発信した電波を検出できるほど近いものが29あることもわかった。このような研究は、私たち地球人が地球外知的生命体を探す場所の選定にも役立つ。

「今回特定されたこれらの恒星は意図的に星間通信を行っている可能性があり、地球外知的生命体探査(SETI)の主要なターゲットになるでしょう」と、ドイツ、マックス・プランク太陽系研究所のルネ・ヘラー氏は語る。宇宙人の観測者が私たちの存在を知れば、「挨拶を送ってくるかもしれません」

星空の移り変わり

地球が太陽の手前を横切る様子が見える恒星を特定するため、カルテネガー氏とファハティー氏は、10億個以上の恒星の動きを監視している欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡「ガイア」のデータを調べた。

地球が見える可能性のあるすべての天体は、地球が太陽のまわりを公転する平面と正確に一致した面内を回っている。この面は一般に黄道と呼ばれ、今回の研究では「地球トランジットゾーン」と呼ばれている。黄道より少しでも上や下にずれていると、太陽の手前を横切る地球の姿は見えない。

カルテネガー氏らは、現在黄道上にあり、地球から約300光年以内の距離にある恒星を1402個特定した。そして、星空の動きを早送りしたり巻き戻したりして、時間の経過とともにこれらの恒星がどのように移動するかを調べ、地球を観測できる位置に移動する恒星を特定した。

夜空の星の位置関係は変化しないように見えるが、常に変化している。例えば、こぐま座α星のポラリスは現在の北極星だが、数千年前にエジプトやバビロニアや中国の観測者が天球図を描いたときには北極星ではなかったし、今から2000年後にも北極星ではなくなっている。

研究チームによると、これらの恒星のほかに、過去5000年間に313個の恒星から太陽の手前を横切る地球が見え、今後5000年間に319個の恒星から同じ光景が見えるようになるという。

カルテネガー氏は、「こうした恒星が地球を観測できる位置にある期間がどのくらい続くのかを調べるのは面白い研究でした」と振り返る。多くの恒星は、少なくとも1000年間は地球を見つけられる位置にある。「さらにそのうちの多くが、1万年以上地球を見つけられる位置にあります。かなり長い期間です」

これらの恒星のうちの7つは系外惑星をもつことがわかっている。なかには岩石惑星をもつを見られるものもある。カルテネガー氏らは、岩石惑星の割合についての知見をもとに、自分たちが調べた範囲には少なくとも508個の居住可能な惑星があり、そのうちの29個が地球から発信された電波を検出できる近さにあるとしている。

この100年ほどの間、私たちは宇宙に向けて電波を発信してきた。テレビ放送のように微弱な電波は、はるかかなたの惑星にいる宇宙人にはなかなか検出できないだろう。しかし、強力なレーダー機器が発する強力な電波なら容易に検出できるはずだ。

 現在、地球上で最も強力な電波を発信しているのは、天文学者が研究のために小惑星などに向けてている惑星レーダーである。2020年12月に崩壊したアレシボ天文台は地球上で最も強力な惑星レーダーで、主に黄道上の天体に向けて送信されていた電波は、その視野の中にある宇宙人の住む惑星に迷惑なスパムを送りつけていたはずだ。

「地球トランジットゾーンに宇宙人がいて太陽系を観測していれば、同じ面にいるわけですから、巨大な電波バーストを見ることになります」と言うのは、米カリフォルニア大学バークレー校SETI研究センターのソフィア・シェイク氏だ。氏は、同じような恒星を対象にSETI探査を行ったことがある。「地球が太陽の手前を横切るのを見ることができる恒星は、私たちのレーダー天文学のおこぼれの電波も拾っている可能性が高いと言えます」

すれ違う文明

しかし、カルテネガー氏らが指摘するように、生命の居住に適していると思われる系外惑星の中には、私たちからは見えていても、向こうからはまだ地球を確認できない星もある。まるで宇宙のマジックミラーだ。

例えば、恒星「トラピスト1」のまわりを回る惑星がそうだ。これらの惑星から地球を見ることができるのは1642年後である。また、地球から約12光年の距離にある「ティーガーデン星」のまわりを回る地球ほどの質量の2つの惑星からは、2050年まで地球を見ることができない。

一方、地球から約11光年の距離にあり、地球ほどの質量の惑星を1つもつ恒星「ロス128」からは、今から900年前まで、2158年にわたって太陽の手前を地球が通過するのが見えていた可能性がある。

「黄道に近い恒星のまわりにいる宇宙人たちは、今は太陽の手前を地球が通過するのを見られないかもしれませんが、数千年前に地球に生命が存在していることを発見していたかもしれませんし、数千年後に太陽の手前を通過する地球を発見するかもしれません」とヘラー氏。

ロス128の惑星に住む宇宙人は、1000年近く前に地球に人が住んでいることに気付いただろうか? それとも、この地球に進化する生物圏の兆候があることを発見するチャンスを逃してしまったのだろうか? トラピスト1の惑星から地球を見つけられるようになったとき、地球上の生命はどのように見えるだろうか? その痕跡はどのように変わっていくのだろうか?

シェイク氏は、「私たちは『今、ここ』という条件を広げて考える必要があります」と言う。「自分と同じ進化段階にあるものを探していては、探索の幅が狭くなってしまいます。生物学的にも技術的にも、はるかな未来と過去について考えることが必要です」

(文 NADIA DRAKE、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年6月26日付]

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