ゼロワン型の協力者が不可欠
そのためには「まず社内から仲間、協力者を募ることです。DXに強い関心を持ち、新規事業の立ち上げに意欲を燃やす『ゼロワン型』の協力者が必要。大手企業がDX化を推し進める過程で、カニバリズム(食い合い)が起きる懸念があるからです。そのためにも突破力のある仲間が大事になります」と石川さんは語る。DX推進役はゼロワン型などの人材を集めたチームをつくり上げた方がいいという。
大手企業の場合は既存事業がある。例えば、インターネット通販事業を始めようと考えても、既存の営業部門が卸や小売業者などのパートナーと濃厚な関係を構築している場合、既存部門からの抵抗は不可避だ。最終的には経営陣が企業としての最適解を意思決定することになるが、DX推進役は既存事業の担当者や経営陣を説得するだけの知識や能力が求められる。
やはりDX人材になるにはかなりハードルが高そうだ。しかし、石川さんは「3段階に分けて知識を取得すれば、それほど壁は厚くない」と強調する。成功への3段階とは以下の通りだ。
デジタル、業界、社内と3段階の知識を取得
(1) DX関連のデジタルの基礎知識を身につける。といってもプログラミングまで覚える必要はなく、迅速に柔軟にソフト開発を進める「アジャイル」など今のエンジニアの思考や文化を理解しておけばいい。そしてDX導入の成功事例などを分かりやすくまとめたビジネス書を2~3冊読めば十分。おすすめの本は「文系AI人材になる」(野口竜司著)と「両利きの経営」(チャールズ・オライリー、マイケル・タッシュマン)。いずれも専門用語は少なく、誰にでも読みやすい良書。この2冊なら10時間もあれば、読み込める。
(2) 次に必要なのが業界内のDX動向を知ることだ。競合他社のDX導入の事例を調べ、比較研究することが不可欠。この知識は社内を説得するのに有効になる。自動車業界の自動運転技術は知られているが、化学業界では膨大な材料データをAI解析する「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」を活用した革新的な新素材開発が進んでいる。業界ごとにDX化の状況や課題は異なる。
(3) 最後に社内でどのようにDX化を進めたらいいか、情報収集して知識を取得する。その後、調査・検討の結果、各部門の中でDX化を優先する部門を抽出する。大手メーカーの場合、研究開発、調達、製造、物流、マーケティング・営業、そしてコーポレートの経営企画や人事、総務など多岐の部門から構成される。一斉に全部門をDX化するのは至難の業。もっともDX化しやすく、明確な効果を出せる部門からスタートし、知見やノウハウを横展開していくのが効果的。例えば、製造部門の最終検査工程に人手がかかっているが、ここにAI画像システムを導入すれば、省力化できるとかそんなやり方だ。
(2) 次に必要なのが業界内のDX動向を知ることだ。競合他社のDX導入の事例を調べ、比較研究することが不可欠。この知識は社内を説得するのに有効になる。自動車業界の自動運転技術は知られているが、化学業界では膨大な材料データをAI解析する「マテリアルズ・インフォマティクス(MI)」を活用した革新的な新素材開発が進んでいる。業界ごとにDX化の状況や課題は異なる。
(3) 最後に社内でどのようにDX化を進めたらいいか、情報収集して知識を取得する。その後、調査・検討の結果、各部門の中でDX化を優先する部門を抽出する。大手メーカーの場合、研究開発、調達、製造、物流、マーケティング・営業、そしてコーポレートの経営企画や人事、総務など多岐の部門から構成される。一斉に全部門をDX化するのは至難の業。もっともDX化しやすく、明確な効果を出せる部門からスタートし、知見やノウハウを横展開していくのが効果的。例えば、製造部門の最終検査工程に人手がかかっているが、ここにAI画像システムを導入すれば、省力化できるとかそんなやり方だ。