アルバムは1970年11月30日に、ジャム・セッションを含む3枚組という異例のボリュームで発売され、イギリスで8週、アメリカで7週1位の大ヒットを記録。第1弾シングル「マイ・スイート・ロード」も英7週、米4週1位の大ヒット。ジョージはポールやジョン・レノンを圧倒する大ヒットでソロデビューを飾ったのだ。

ジョージのソングライターとしての評価もますます高まり、70年に「サムシング」でアイヴァー・ノヴェロ賞(毎年、すぐれたソングライター、作曲家に贈られる英国の賞)を獲得したのに続き、71年にも「マイ・スウィート・ロード」で2年連続の受賞を果たしている。ジョージはビートルズ第3のソングライターという肩書をも打ち破り、時代のトップを走るシンガーソングライターに躍り出たのだ。ポールとジョンのソロ第1作と同様、ジョージのこのアルバムも彼の代表作とみなす人は多い。

『オール・シングス・マスト・パス』50周年記念盤

オリジナル盤発売から50年となる2020年から噂されていた『オール・シングス・マスト・パス』50周年記念盤が、1年ほど 遅れて8月6日にいよいよリリースされる。

01年1月にはデジタル・リマスターされた『ニュー・センチュリー・エディション』が30周年記念盤として発売され、ジャケットがカラー写真に変更され、「マイ・スウィート・ロード」のリメイク、未発表曲「アイ・リヴ・フォー・ユー」、未発表バージョン3曲などが収録されていた。

今回の50周年記念盤は、生前のジョージの意向をくみ取る形で、息子のダニーがエグゼグティブ・プロデューサーを務め、全面的にリミックス・リマスターを施しての発売となった。ジャケットはオリジナルとも01年盤とも異なる緑と黒の2色。

日本盤では、オリジナル盤(LP3枚組23曲収録)を新たにリミックス(18曲)・リマスター(5曲)した2CDをベースに、アウトテイク、デモ音源などを加えた3種類のセットなど、4種類のフォーマットが発売される。ほかにもUNIVERSAL MUSIC STOREでは、独占で究極のUber Deluxe Editionも限定予約の受付が開始されているほか、輸入盤で5LP、3LP、3LP Colorを入手することもできる。

ここでは日本盤として発売される4つのフォーマットと、究極の内容となっているUber Deluxe Editionを紹介しておこう。

1 2CDエディション(SHM-CD仕様)/UICY15999/6000 英文ライナー翻訳・歌詞対訳・ポスター付。

2 3CDデラックス・エディション/UICY79730/2 2CDエディションの内容にセッション・アウトテイクとジャム音源17曲分を収録したCD1枚+20ページブックレットを加えたもの。

3 完全生産限定盤スーパー・デラックス・エディション/UICY79729 2CDエディションの内容に加えて、30テイク分のデモ音源を収録したCD2枚+セッション・アウトテイクとジャム音源17曲分を収録したCD1枚+ブルーレイ1枚[オリジナルアルバム全曲分のHDステレオ、5.1サラウンド、ドルビー・アトモスのオーディオ収録]+当時の未公開写真や記念品・手書き歌詞・日記・スタジオでのメモ・テープ保管庫の画像・各曲解説などを収録した60ページの豪華スクラップブック。

4 直輸入仕様/完全生産限定スーパー・デラックス・LPエディション スーパー・デラックス・エディションのブルーレイ収録分を除く音源を収録したLP8枚+60ページの豪華スクラップブック。

5 輸入盤Uber Deluxe Edition 木製の特製ボックスに、上記スーパー・デラックス・エディション収録のCD5枚+ブルーレイ1枚、LP8枚に、96ページの拡張版スクラップブック、アルバムの制作過程を記録した44ページのブックレット、ジョージのフライアー・パークのナラの木で作られた木製しおり、さらにジャケットに登場する妖精たちやジョージの6分の1スケールのフィギュア、クラウス・フォアマンの限定イラスト、ジョージが師と仰いでいたパラマハンサ・ヨガナンダの著作『ライト・フロム・ザ・グレート・ワンズ』、特製ボックス入りのルドラークシャ・ビーズなどを収納。

ジョージのこのアルバムに初めて触れる人は2CDエディションをじっくりと味わってほしいが、熱心なファンから注目を集めているのは、Uber Deluxe Editionだ。『オール・シングス・マスト・パス』に関連する現時点で入手可能な最新音源が完璧にそろうだけではなく、ジョージがこの作品の制作にかけたスピリットや熱い情熱を体感させる資料がたっぷりと収納され、これまで知る由のなかったジョージ・ワールドをより深く味わうことができるのだ。とりわけこのセットでのみ入手可能なアルバムの制作過程をまとめたブックレットは、サウンド探求派には見過ごせない重要資料になるだろう。

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ディランのアルバムでもジョージの演奏が