駅ナカ1坪で「各地の逸品」発信 支えは慶応OBの絆黒川健太・生産者直売のれん会社長(下)

黒川健太・生産者直売のれん会社長
黒川健太・生産者直売のれん会社長

駅ナカの1坪ショップで「これぞ」と見込んだ地方のご当地グルメを大ブレークさせる。「生産者直売のれん会」(東京・台東)は、独自の手法で地方の食品メーカーの全国ブランド化を支援し、急成長してきた。同社を率いる黒川健太氏(45)は、東京都立国立高校から慶応義塾大学経済学部を経て、経営コンサルティング会社の旧ベンチャー・リンクに就職。2010年、曲折を経て現在の会社を立ち上げた。

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一浪して、慶応義塾大学経済学部に入った

慶応の経済学部を目指したのは、経営者を輩出しているイメージがあったからです。父が小さな設備会社を経営するのを間近で見ていましたし、自分には寺子屋のような塾を作りたいという夢がありました。でもあまり勉強はせず、高校時代と同じく軽音楽部でバンド活動に明け暮れていました。

大学時代で一番思い出に残っているのは競馬です。といってもギャンブルではなく、ペーパーオーナーゲームという遊びで、血統や厩舎などさまざまな情報をもとに馬を選んで仮想の馬主になり、誰が一番賞金を稼ぐかを競うものです。バンドメンバーの4人でやっていたのですが、僕は、各自が選んだ馬がいつどのレースに出ていくら稼いだかが一目でわかるようなホームページを作りました。そこで没頭したのが、競馬の予想コラムを書くことでした。公開しているのはメンバーだけですから読者は4人。しかも他のメンバーはたいして読んでいなかったと思いますが、僕の熱の入れようは尋常ではなく、毎週欠かさず、膨大な文章を書いていました。

競馬の予想屋にはデータ派、調教派、ロマン派など流儀がありますが、僕はロマン派。「Aという馬の父親と母親は誰で、Bという馬とは父親同士がかつてのライバル。両者因縁のレースは……」みたいな物語を展開していくのです。高校時代に日本史の偉人について調べ尽くし、自分なりの解釈をオリジナルノートにまとめていたのと同じ感覚です。何度も推敲(すいこう)し、満足できないと全部消して最初から書き直して、最後は誤字脱字がないかまで入念にチェックしていました。狂気の沙汰とも言えますが、競馬予想コラムとしては日本一の充実度、面白さだったんじゃないかと自負しています。

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