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時代ごとに主役となる資源は変わり攻防を繰り返してきた

時代ごとに主役となる資源は変わり攻防を繰り返してきた

資源エネルギーは我々の社会経済活動を支え、なくてはならない存在だ。時代によって主役の座は移り変わる。蒸気機関の燃料として産業革命の立役者となった石炭。飛行機や船、車など輸送手段の燃料にとどまらず、発電や化学製品原料の中核となっている石油や天然ガス。それがいまは脱炭素の動きが加速し、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの普及のほか、二酸化炭素(CO2)を排出しない電気自動車(EV)などで需要拡大が見込まれているレアアース(希土類)も注目されている。

本書『資源争奪の世界史』はこうした資源の歴史をひもとき、資源をめぐる国や企業間の攻防にスポットライトを当てている。資源小国の日本にとって学ぶべきところは多く、これからの進路を考える手がかりともなる。著者は各国の資源争奪の様相だけでなく、資源にまつわる技術的な解説や課題、背景なども丹念に記述しており、産業・技術史の本としても読める。欄外にある用語解説のほか、事例やデータ、図表も満載している。過去に学び、今後のエネルギー問題を考える上で教科書となる一冊だ。

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著者の平沼光氏

著者の平沼光氏

著者の平沼光氏は東京財団政策研究所研究員。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程を修了し、社会科学で博士号も取得しています。日産自動車を経て、2000年から現職。内閣府日本学術会議 東日本大震災復興支援委員会 エネルギー供給問題検討分科会委員などを歴任。科学技術振興機構(JST)低炭素社会戦略センター客員研究員も務めています。主な著書に『2040年のエネルギー覇権』(日本経済新聞出版)、『日本は世界1位の金属資源大国』(講談社+α新書)などがあります。

時代で変わる資源獲得をめぐる攻防戦

資源というと地下に埋まった鉱物や化石燃料というイメージで本書を読み始めると、冒頭でやや面食らうかもしれません。第1章でテーマになっている資源はスパイス。大航海時代、希少で当時は金に匹敵する価値のあるコショウを求め、西欧の列国は競って東南アジアへ航路開拓の攻防を繰り広げました。本書で「資源争奪」の事例として紹介されていますが、スパイスを取り上げた理由として著者は「資源は地中に埋まった化石燃料」との固定観念をリセットするためだと説明します。

国は富を獲得するために争い、時にはライバルとも手を組む国際政治を駆使して、さらにそのための技術を高めていきます。大航海時代ではコショウが利益の源泉となり、航路開拓に向けて造船技術の大きな進展につながりました。何が資源かは時代を経て移り変わりますが、今でもこの構図は変わらないように思われます。

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