「死ぬ前に絶対に仕事を辞めたい」

今作に携わったことで、「自分にも終わりがやってくる」ということとどう向き合ったのだろうか。

神木 常に意識しているわけじゃないですけど、死はやってくるものですからね。順番的には親も自分より先に死んでしまうし。

木村 えー、母ちゃん死ぬの、無理~!

神木 順番的にはね(笑)。僕は小さいときからこの仕事をしているので、「親の死に目には会えない」ってずっと言われていて、親からも、「自分が危篤になっても、仕事があったら来ないで」って。

木村 そうなんだ?

神木 そう。逆に、僕が親に会いに行くっていうことは、僕に仕事が入ってなかったってことだからちょっと落ち込むって言われているぐらいで(笑)。だから、いつかそういう日が来る覚悟はしています。常に考えてるわけでもないですが、この作品に関わらせてもらったことで、“死”ということを生活の中で少しでも意識したというか、それがあるかないかでは、生き方が違ってくると思うんですよね。子どもたちにも絵本感覚で映画を見てもらって、自然とそういうことが伝わるといいなって思います。親子で「ワニがいなくなったことについてどう思った?」って話し合ったり。「悲しかった」とか「どこ行っちゃったの?」とか。「生きてるんじゃない?」って思ってもいいと思うし。作品で伝えてることってすごく大事なことだと思うので、そういう感じで楽しんでもらえてもうれしいなって思ったりしました。

木村 僕は死ぬ前に絶対に今の仕事を辞めたいと思ってるんです。現役で亡くなってしまうのは、残された人の悲しみが大きすぎる。そういう先輩方をたくさん見てきたので。だから、自分は60歳で惜しまれつつリタイアして、その時に声優としてやらせてもらってるキャラクターがあれば全部後輩に譲って、離島に移り住んで焼鳥店をやろうと思ってます。余生は串を回して生きていきたい。「あいつ最近どうしてるんだろ?」くらいがいいんですよね。

神木隆之介
1993年5月19日生まれ、埼玉県出身。2歳でCMデビューし、主演映画『妖怪大戦争』(2005年)でアカデミー賞新人賞を受賞。以降、ドラマや映画のほか、『サマーウォーズ』(09年)、『君の名は。』(16年)などアニメ映画への出演も多数。
木村昴
1990年6月29日生まれ、ドイツ出身。2005年に『ドラえもん』のジャイアン(剛田武)役で声優デビュー。主な出演作に『ハイキュー!!』『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』など。
(C)2021「100日間生きたワニ」製作委員会
『100日間生きたワニ』
花見の場所に来ないワニを心配したネズミはバイクで迎えに行く途中、満開の桜を撮影した写真を仲間たちに送るが、それを受け取ったワニのスマホは、画面が割れた状態で道に転がっていた。その100日前、ワニが送っていたのは、平凡でありふれた日常だった。(東宝配給)

(ライター 小松香里)

[日経エンタテインメント! 2021年6月号の記事を再構成]

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