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2020年いっぱいで活動休止を宣言したアイドルグループ「嵐」。嵐のマーケティングは最強だったと力説するのが、IBAカンパニー代表取締役の射場瞬(いば・ひとみ)氏だ。ファン歴14年の同氏は、嵐を実例に用いたマーケティングの実践書『「嵐」に学ぶマーケティングの本質』(日経BP)を執筆した。嵐の活動はマーケティングの基本に沿い、当時は発表されていなかった最新理論さえも時代を先取りして実践していたという。同書から、マーケティングを成功させたドライバーの一つ、「顧客志向と顧客インサイトの理解」に関する箇所の一部を再構成して公開する。

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マーケティングに関わる者として、嵐のマーケティング(対嵐市場の活動)は、「上手に消費者の心のツボをついていて効果的である」と強く感じる。そのあまりの正しさに、マーケターとして負けました、参りましたと思わされることも多い。なぜ、私はそう思わされ続けているのだろうか。その理由の根底には、嵐が顧客志向のマーケティングを徹底的に行っていることがあると思う。

顧客を理解して、顧客を中心に据えたマーケティング活動を行うことを顧客志向のマーケティングと呼ぶ。顧客(嵐の場合は嵐ファン)をとことん見て、理解して、考えて、ニーズや困り事に応えるためにマーケティング活動をすることである。「お客さまのことを第一に考えましょう」という方針は、ビジネスやマーケティングの場でごく一般的に聞かれると思う。この顧客志向、顧客を第一に考えるということは、わかりやすくシンプルで、誰にでもできそうに聞こえる。

しかし、顧客志向という考え方はシンプルではあるが、とことん最高の質を目指して実行し続けるのは、実は非常に難しい。自分たちが「顧客志向でありたい! お客さま第一」と考えて実行することはもちろん、顧客側に「顧客志向のブランドだ」と実感してもらう必要がある。ブランドや、ブランドの生み出す商品やサービスのイメージは、顧客の頭の中にあるものである。売り手(送り手)が顧客志向でありたいと努力していても、買い手(顧客)が実感し、そう頭の中で信じていない限り、顧客志向のブランドや商品にはならないのである。

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