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HISが密かに増やすそば店 ランチやちょい飲みが魅力

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旅行大手のエイチ・アイ・エス(HIS)がそば店の展開を進めているという情報を得た。これは注目せざるを得ない。HISは、連結売上高4300億円(2020年度)の大企業。新型コロナウイルスで苦しんでいるとはいえ、旅行業界での存在感は絶大で、会長兼社長の澤田秀雄氏が一代で築き上げた企業グループとして有名だ。

それがなぜ、そば店?

HISは、旅行業が本業とはいえ、グループで長崎県佐世保市の「ハウステンボス」などのテーマパーク事業や、「変なホテル」などのホテル事業を手がけている。しかも東京・渋谷の商業施設、モディでロボットがコーヒーをサーブする無人の「変なカフェ」を出店したり、「ハウステンボス」内でロボット調理長がお好み焼きを作る「変なレストラン」を営業したり、外食事業とのかかわりがあるのは確かだが、こうした話題性を狙った店に比べると、「日本そば」は、いかにも「地味」だ。

店名は「満天ノ 秀そば」。2020年10月に埼玉県川越市に1号店をオープンし、現在、都内の飯田橋、神田、四谷にも店を増やし、4店体制だ。目立たないがジワジワと店を増やしている。ただし、店名が「満天ノ 秀そば」と「秀」の文字を使っていることから、「澤田秀雄氏の道楽じゃないの」とやゆする声も聞こえて来る。でも、そんなに単純じゃないだろう。

これは見てみないと分からない。最新店の四ツ谷店を訪れた。

JR四ツ谷駅から北側に出て、繁華街であるしんみち通りを通り抜けた突き当たりにある。店頭に張り出している、布製の大きな青い店頭幕がまばゆい。そういえば、HISのコーポレートカラーは、ブルーだった。店頭の雰囲気は悪くない。

平日の午後2時ごろ、すでにピークタイムは過ぎているが、そこそこお客は入っている。四谷は周辺の飯田橋や市ケ谷と比べて再開発による大規模ビルは少ないが、中小企業のオフィスは多い。悪くない場所だ。近くにあれば、ランチやちょい飲みに行ってしまうだろう。

暑くなり始めの時期に「攻めてる」冷やしそば

そばは、店内で実を挽き、ゆでる「ひきたて、打ちたて」を売りにしている。またそば店の定番である天ぷらは、揚げ衣に米粉を配合しており、サクサクの食感を売りにしている。

もう暑くなり始めた時季。ここは冷やしそばで行こう。「初夏のおすすめメニュー」を見ると、「秀そばオリジナル蕎麦(そば)」と銘打った「オリーブ薫るレモン蕎麦」がある。990円。少し高めだが、面白い。

うどん文化圏では冷やしうどんのバリエーションとして、「すだちうどん」があるが、そのうどんをそばに、すだちをレモンにして、レモンの生産地である瀬戸内のイメージがあるオリーブオイルを少し加えるという趣向だ。地味だがなかなか攻めている。ついでに、天ぷらのオススメ「アスパラの天婦羅(てんぷら)」(1本480円)と「鱧(はも)の梅しそ天婦羅」(580円)も頼む。もちろん、ビールは欠かせない。

テーブルに来たお膳は、想像以上だった。メインの「レモン蕎麦」は、6枚のレモンの薄切りがのっている。おそらくレモン半分以上の分量だろう。つゆはあっさりめで、老舗系のそば店のような強さは感じない。万人向けで、かといって町のそば店のような「よくある感」はない。ちゃんとしたそば店という風情がある。

で、オリーブオイルがなかなか良い感じなのだ。オリーブオイルも種類によっては、個性が強いものがあるが、割と控えめなのに少し個性がある。学級委員長ではないけれど、結構成績が良くて、意外とかわいいというタイプか。

天ぷらも良い感じだ。アスパラは結構長く、15センチほど。それを薄めの衣で揚げてある。こうした大きなアスパラは、根の方が硬く、口の中に繊維質が残ることが少なくないのだが、最後までシャキシャキで食べられる。個人的には、アスパラは根側から食べて、穂先は最後に楽しむことをお薦めしたい。「鱧の梅しそ天婦羅」も季節感を感じられてうれしい。ビールまで入れると3000円近くかかっているのだが、満足度は高い。

もちろん、日常使いもできる。「もりそば」は650円だし、つくね汁とお新香がつく丼ものは890円から。そこは、格安航空券でトップに立ったHIS精神が生きているのだろう。

近所の昼飲みにも使える「ほどよい」加減

気が利いているのが、店に入ってすぐ、無料の飲み物が提供されるのだが、定番のそば茶に加え、健康酢が小さなグラスで登場する。店舗理念が「そばで健康に貢献する」であるため、それを実現しているのだろう。

では、なぜそば店だったのか?

同社によると、全国各地の歴史あるそば店が後継者問題で閉店していく中、その歴史と文化を継承していくことが狙いとのこと。将来的には、国内だけでなく、世界にも打って出るつもりのようだ。

ベンチャー企業として生まれたHISは、旅行事業のほかに多くの事業を手がけているが、さらに新規プロジェクトを2つ立ち上げている。一つは、いわゆる「終活」をサポートする「ライフ&エンディング」事業で、墓参りやお墓の掃除代行をする。もう一つが今回の飲食事業だ。

そば事業は意外と難しく、大きなチェーンが少ない。立ちそばは「ゆで太郎」「名代富士そば」「小諸そば」、商業施設中心にグルメ杵屋が展開する「そじ坊」、郊外ではサガミホールディングスの「サガミ」「味の民芸」など和食レストランチェーンくらいか。町場には「立ち」以外に大きなチェーンはなく、ほとんどが個人店だ。それが経営者の高齢化で次々になくなっている。HISは、このマーケットを狙っているのだろう。起業家精神あふれる澤田氏らしい企業行動だが、正直大きなビジネスになるかどうかは怪しい。

ただ、そうした客観的な視点とは別に客として近所にこうした店があれば、おそらく通ってしまうと思う。使い勝手の良さと、価格、料理、サービスのバランスが絶妙なのだ。

実は2号店の飯田橋店にも以前行ったことがある。アパホテルの1階で宿泊客の朝食需要も賄う店だったが、オペレーション効率化のためだろう、食券機での対応だった。夕方以降に、天ぷらをアテにちょい飲みをしたくても、いちいち券売機にお金を入れなくてはいけなかった。四ツ谷店は、その問題を解決し、通常のオーダーの仕組みになっていた。

さすがHIS、客の不満は確実に改善し、新しいチャレンジに取り組んでいる。町場のそば店は、個人店が次々廃業しており、老舗そば店もどきの手打ち好きオヤジの店が増えている。特に地方はその傾向が大きい。ただ、こうした店は意外に高い。あまり使い勝手が良くないのだ。

そんな中、HISが展開している「満天ノ 秀そば」は、悪くないポジションにいる。これからどこまで事業としてのブラッシュアップができるかだが、可能性は秘めている。ライバルはおらず、マーケットはなくならないのだから。ブルーオーシャンになるかもしれない。近所で昼飲みしたいのに、そば店が次々無くなっているのを見ると、期待したくなるのである。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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