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突然くる親の介護 翻弄されないための6つの基本とは

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

誰でも自分の親にはいつまでも元気でいてほしいと思うものだ。しかし、高齢となれば、いつ認知症が始まったり、骨折をきっかけに寝たきりになったりしてもおかしくない。「ついこの間まで元気だったのに、突然、介護が必要になった」という話は珍しくないのだ。

いざというときあたふたしないためにも、介護とは何か、準備しておけることは何かなど基本知識は持っておきたい。そこで、介護者をサポートする活動をしている東京・小金井市のNPO法人UPTREE(アップツリー)代表の阿久津美栄子さんに話を伺った。

――元気だった親が急に倒れて介護が必要になり、何をどうすればいいか分からず困ったという話を聞くことがあります。突然、親の介護が必要となったとき右往左往しないために、準備しておけることはありますか?

阿久津美栄子さん(以下、阿久津さん) まずは、親が元気なうちから、介護保険制度でどんなことができるかをざっくりとでも把握しておきましょう。この制度は40歳以上が保険料を払い、介護が必要になった際にサービスを利用するという社会保険制度です。しかし、保険料を払ってはいても、実際介護が必要となるまで、ほとんどの人が制度内容についてよく知らないのが現状です。

この制度について調べる際、ポイントとなるのが親の居住地がある自治体の情報を得ておくことです。

今日では、多くの家庭が核家族世帯で、親と子は離れて暮らしています。そのため、離れていても可能な介護環境が必要となります。これを実現するには、親の地元の社会資源について、介護者が把握しておくことが重要になるのです。

各自治体の介護関係の窓口には、「介護保険制度」の冊子が必ず置いてあります(ネットからダウンロードできる自治体もあり)。冊子には、介護保険制度についての基本的な説明や、介護が始まれば最初にアプローチすることとなる地域包括支援センターの連絡先などが書かれています。地域包括支援センターというのは、いわば高齢者支援のよろず相談所で、介護全般の専門家である主任ケアマネジャー、医療・保険・介護予防を担当する保健師、福祉の専門家である社会福祉士などが連携して業務にあたっています。親が元気なうちに、この冊子を入手しておくといいでしょう。

また、どこの病院が親のかかりつけか、そしてできれば親がどんな介護を望んでいるのか把握しておくことも大切になります。在宅か施設か、体の状態によっては病院での看護を望むのかなど基本的な希望を聞いておけば、ただでさえ混乱している時期に、余計な迷いがなくなります。

介護者の多くが最初に困ることは?

――介護者となった人の多くは、最初にどんなことに困るのでしょう?

阿久津さん介護の業界では、「デイサービス」「グループホーム」「老健」「特養」など日常生活にはない専門用語が使われ、言葉が分かりにくく戸惑うことが多いと思います。介護が始まると、各種サービスを利用するために、まず地域包括支援センターに連絡をして、要介護認定のための申請をします(介護保険サービスの利用には、要支援1から要介護5まで7段階のレベル認定を受ける必要がある)。

認定を受けたら要介護1以上の場合、ケアマネジャーが付きケアプランを立てます。在宅介護では、基本的にケアマネジャーを自分で選ぶ形となりますが、施設に入居する場合は、施設所属のケアマネジャーに担当してもらうことになります。在宅介護では、ケアマネジャーは訪問看護や入浴介護など、さまざまな介護サービスを提供する事業者との連絡や調整もしてくれます。

ただ、ケアマネジャーが、分かりやすい日常的な言葉ではなく専門用語を使い、コミュニケーションが円滑にいかないことも多いのが実情です。医療、保健、福祉の現場で5年以上の経験を積んで取得できる資格なのですが、看護師、介護職員から柔道整復師、医師、栄養士出身までキャリアはさまざま。キャリアにより使う言葉も変わってきます。ですから、分からないことがあれば積極的に聞く。そして、なるべく自分がすんなり分かる言葉でコミュニケ―ションを取ってもらうようにしましょう。

また、介護保険制度が始まったばかりのころは、ケアマネジャーが積極的に要介護者にかかわってくれたのですが、今は人手不足で、積極的に「こうしてほしい」とお願いしなければ動いてもらえないことが少なくない。だから、できるかどうか分からなくてもまずは「こんなことをしたい」と聞いてみましょう。多くの人は、ケアマネジャーが提案したプラン以上のことは、やってはいけないと思ってしまう。介護者が自分たちの意思を伝えられないことで、トラブルになることも多いです。

――トラブルというと、どんなことがあるんですか?

阿久津さん 多いのは、ケアマネジャーによるケアプランを受け入れることが「当たり前」と思い、自分のニーズと齟齬が生じることですね。例えば、介護保険サービスは、要介護度によって利用できる範囲、受けられる内容が変わってきます。すると、親の介護区分の範囲ではここまでしかサービスは使えないようだけれど本当はこんなことをしてほしい、といったことが出てくる。積極的にやってほしいことを言わなければ、介護は回りません。

例えば、「私は仕事をしているので、父母には自立をして生活をしてもらいたい。それを支えるための介護保険制度は何が使えるんですか」と聞いてみる。今の社会ではごく当たり前のケースですが、急に介護者となるとそんな当たり前の要望も伝えられず、非常に受動的になってしまいがちなんです。

誰でも介護を始めて1年ぐらいたつとコツをつかんできますが、初動ではなかなか自分の要望を伝えることが難しい。でも、どうせダメだと決めつけず、やってほしいことをしっかり伝えれば、意外に道は開けるものです。

――担当するケアマネジャーはどのように決まるのですか?

阿久津さん ケアマネジャーは、特定の一人を紹介してもらうのではなく、基本的にはリストをもらってその中から選ぶことになります。

ケアマネジャーは、居宅介護支援事業所に所属、もしくは独立開業しています。そこで、まず地域包括支援センターで地域の事業所の一覧をもらい、親の住居に近いところなどを選ぶとそこでケアマネジャーを紹介してくれます。紹介といっても、もらうのはリストでそこから自分で選ぶわけです。ただ、初めての介護ではどの人がよいのか判断しかねますから、リストの上の方の人を選んだり、地域包括支援センターの人に支援事業所やケアマネジャー選びを任せたりという場合が多いのが現状です。

ただし、一度担当が決まっても、合わないと思えば、別の人に変えてもらえます。介護者である家族が、合わないからと変えることがある一方、そうしたときでも親が気に入っている場合は変えない人もいて、ケースバイケースです。ただ、親が元気なときは本人と合う人がいいのですが、基本的にケアマネジャーと一番接点を持つのは介護者なので、家族と相性が良い人を選ぶのもお勧めです。

また、ケアマネジャーのキャリアによって得意分野は異なるので、そうした視点から選ぶ方法もあります。

「他人を家に入れたくない」と親が言うときはどうすればいい?

――介護者は自分の負担にならないように、できるだけ周りの助けを借りるといいとよく言いますが、在宅で介護をする場合、家に人が入ることに対し親の抵抗があるというケースもよく耳にします。

阿久津さん 介護初期に、よく皆さんが困られていることですね。家への訪問だけでなく、デイサービス(在宅の要介護者が施設に通って日帰りで受ける食事や入浴、機能訓練などのサービス)に行ってくれない、認知症検査に行ってくれないといった、介護者の相談は多いです。ただ、私の回答は、親がその気になるのを「待つしかない」です。介護初期は親も抵抗する余力があるかもしれませんが、状態がパタンと悪くなり、家に人を入れなくては回らない、検査に行かなきゃと本人が思う時期が必ず来るからです。無理やり行かせてストレスになるより、待つのが最善策だと私は思います。

ただ、ケアマネジャーがうまく促してくれることもあります。特に認知症の方は、他人に愛想よくふるまう傾向があるので、外部の専門職の人から話してもらうとうまくいく場合があります。

――他の介護者の話を聞けるコミュニティはあるのでしょうか。

阿久津さん UPTREEでも、介護者同士のサロンを開いたり、企業で働く介護者に向けた研修を行ったりしていますが、各自治体は、必ず介護している家族をサポートする「介護者の会」といった事業を実施しています。一度は、そうした会を訪れてみるといいでしょう。

経験者の知恵は非常に役に立ちます。例えば、最近耳にしたのは介護用品についてのアイデアです。その介護者の方は、認知症の親が夜中頻繁にトイレに行くので、それを知らせるセンサーを探されていました。介護のための福祉用具には人がベッドから出ると音が鳴るような高額なセンサーがありレンタルもできるのですが、その方は人が通るとセンサーが働いて点灯するライトを100円ショップで見つけ、それが十分役に立っているそうです。私どもの団体の企業研修では、介護の失敗談を聞きたいという要望も多いですね。学ぶことが多いからでしょう。

「介護者である」という自覚を持つことが実は大事

――そもそも介護者になるとはどういうことなのでしょう。

阿久津さん UPTREEの介護者のためのサロンでは、通いで親の世話をしているから参加しているのに、「自分はまだ介護をしていないんですけど…」と言う方がいるんです。自分が介護者になっていることを認識できていない。寝たきりの親の世話をして、疲れ切っているのが介護者であるというようなイメージがあって、通いで親の世話をしているぐらいでは、「介護者ではない」と思う人が少なくないんです。

でも親のため、要介護者のために時間を使っているならば、それはもう介護者と言っていい。自分で意識しなければいけないと思います。認識が甘いと、かかわり方が中途半端になり、自分でも意識しないうちに、なし崩し的に介護の負担が増え、親に翻弄されていく。介護者自身の生活が破綻していきます。

自分は介護者であるとしっかり認識し、自分の時間も作り安定させた上で、介護にかかわるのが理想だと私は思っています。自分の時間がなくなると、疲弊し、鬱になる。実際にそういう介護者は多いのです。

そのためには、いずれ訪れるだろう介護の知識を最低限でも事前に頭に入れておくことが重要です。

「介護者ではない」と思うことがリスクに

◇   ◇   ◇

後編では、介護者が抱えがちなストレスの実態や、うまくいかない介護の典型例、介護のゴールを意識することの大切さ、知っておきたい「介護休暇」と「介護休業」の違いなどについて、話を伺っていく。

(ライター 大塚千春、図版制作 増田真一)

[日経Gooday2021年6月8日付記事を再構成]

阿久津美栄子さん
NPO法人UPTREE代表。1967年長野県生まれ。自身の介護の経験から、介護者をサポートするNPO法人UPTREEを2013年に立ち上げる。企業研修も行うほか、2019年にはLINEの公式アカウント「介護あっぷあっぷくん」をスタート。介護初心者向けに、介護の基本的な情報、介護保険の仕組みなどを紹介するほか、チャットボット(AIによる自動応答サービス)も導入している。UPTREEとして、介護の記録をサポートする「認知症の家族のための介護者手帳」も発行。

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