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素材の豊かな甘み感じるフォカッチャ 東京・神楽坂

2021/7/12
お薦めは、フレッシュトマトとオリーブ、赤玉ネギのフォカッチャ
お薦めは、フレッシュトマトとオリーブ、赤玉ネギのフォカッチャ

イタリアンの店で、焼きたての自家製のフォカッチャが出てくるとうれしいもの。オリーブの香りとほのかな塩味、独特の食感が後を引き、注意しないと食べ過ぎてしまうことも……。けれどもイタリアには、日本で知られている以外にも、さまざまなフォカッチャが存在するという。いったいどんなものなのか。

パンの街として知られるイタリア・プーリア州のアルタムーラで修業したパン職人が開いたという、本格的なフォカッチャの専門店「フォカッチェリア アルタムーラ」を訪ねてみた。

「フォカッチェリア アルタムーラ」があるのは、東京メトロの東西線神楽坂駅からも、有楽町線の江戸川橋駅からも徒歩5分ほどの場所。鮮やかな黄色の扉が目をひく店構えで、店前にとめてある黄色い自転車で、近隣へデリバリーもしている(2500円以上、晴れの日限定)。

入り口を入って右側はカラフルなイスが並べられており、いかにも居心地のよさそうなイートインスペース。イタリア直輸入の調味料も並び、購入も可能だ。

入り口左側にはキッチンと、フォカッチャが並べられた冷蔵ケース。朝一番に訪れると、さまざまなハーブを焼きこんだフォカッチャや、小ぶりのフォカッチーニが次々に並べられていく。

イタリアの白パン「チャバタ」

フォカッチャだけではなく、イタリアで人気の白パン「チャバタ」、生地で具を包み込んだピザ「カルツォーネ」、シンプルなトマト風味の「ピッツア」などもあり、どれもこれも本当においしそうで、見ているだけでワクワクする。イタリアのパンだけでこんなに種類があるとは驚きだ。

この店のオーナーでフォカッチャ職人の山本誠さんは、もともとはフレンチの料理人。初めてのヨーロッパ旅行で、たまたま訪れたイタリアのプーリア州にあるアルタムーラという街がすっかり気に入ってしまい、移住して料理の修業を始めた。

その時は知らなかったそうだが、実はアルタムーラはイタリアでも有名な「パンの街」。人口約7万人の小さな街に200軒以上のパン店があり、薪(まき)で焼く1400年代から続くパン店がいまだに営業しているほど。米国の大手資本のハンバーガー店が店を開いたが、1年もたたないうちに撤退したというエピソードもあるそうだ。

山本さんは現地での生活に慣れ親しむうち、どんどんイタリアのパンのおいしさ、奥深さに魅せられていく。とくに彼の心を魅了したのが、プーリア州を含む南イタリア地方独特のフォカッチャ。

料理の修業を1年終えた後、現地の「レ・バゲッテ(le baguette)」というパン店に弟子入りし、1年間みっちりパン作りを学んで帰国した。

日本で自分の店を持つことになった時、「ふつうの料理店ではつまらない。イタリアの生活になじんだものを」と考え、フォカッチャの専門店を開くことを決意。2013年に「フォカッチェリア アルタムーラ」をオープンした。

思い切った賭けのように思えるが、山本さんに不安はまったくなかった。「僕がイタリアで食べて感動したあの味を再現できれば、必ず多くの人に喜んでもらえると思いました。味には絶対の自信がありましたから、そこは揺るがなかったですね」(山本さん)

神楽坂に店を出したのは、以前の勤め先が新宿で土地勘があったこと、外国人が多く住んでいること、そして大きな商業施設がなく個人商店の多い街に出したいという条件に合ったため。

「2つの駅のちょうど中間地点で、どちらからも少し距離がある点が少し心配だったのですが、開いてみたら両方の駅からもお客さまが来てくださるので、結果的に成功でした」(山本さん)

山本さんが作るのは、プーリア州を含む南イタリア地方のフォカッチャで、リエビト・マードレというヨーグルトから作る種で発酵させ、日本のウナギのたれと同じようにその生地を継ぎ足して作っている。

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