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脳を鍛えるコツ3つ 脳トレは筋トレより早く効果あり

脳機能のアンチエイジング(下)

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

年齢とともに記憶力や脳の処理スピードは低下し、「あれ」「それ」など言葉を思い出せないシーンが増えてくる。「これは、前頭前野の機能低下によるものですが、前頭葉を鍛えるような頭の使い方、いわゆる脳トレをすることで、機能低下に歯止めをかけられます。しかも、脳トレ効果は筋トレよりも現れやすいのです」と公立諏訪東京理科大学工学部教授の篠原菊紀さんは言う。実は脳トレは、日常のいろいろなシーンで実践が可能だ。今回は、「ちょっと意識を変える」ことで脳を鍛えるコツを教えてもらおう。

脳トレは効果ある? 「10年後も効果持続」という研究報告も

年齢とともに、記憶や学習、言語などをとりまとめて判断する「前頭前野」や、記憶を引き出しに入れたり取り出したりする「海馬」、やる気にスイッチを入れる「線条体」といった脳の働きが低下することを前回(「脳を鍛える極意 増える『あれ・それ』老化にあらがう」)は紹介した。

このような脳の老化に歯止めをかけるのが「脳トレ」。篠原さんは、特定の行動をしたときに活性化する脳の部位について調べ、それらをもとに「脳トレ」メソッドを開発している。

脳トレは確かに脳への刺激となりそうだが、本当に効果はあるのだろうか、と疑問も湧いてくる。「脳トレは、一般に認知トレーニングといわれ、その効果を検証する研究も行われています」(篠原さん)

米国で2832人を対象に認知トレーニングを行い、10年間の追跡調査を行った研究がある。被験者は、記憶(文章などを読みその内容を問われる)、推論(数列を予測する)、処理スピード(視覚的刺激にすばやく反応する)のうちいずれかの認知トレーニングを行う3つの群と、何もしない対照群に振り分けられ、3つの群は研究開始時と11カ月後、35カ月後にそれぞれのトレーニングを行った。10年後、何もしないグループに比べて、記憶、推論、処理スピードに関する認知トレーニングを受けた群はそれぞれのトレーニングに対応する認知機能が改善し、その効果は10年後も維持されていた(下グラフ)。

認知トレーニングの効果は10年後も持続した

「この研究で行われたトレーニングは1回につき60~75分のもの。日常における仕事や家事などでも、ややこしい手順を避けずに脳トレを意識して実践すれば、同様の刺激を脳に与えることができると考えます」(篠原さん)

前回記事でも解説したが「ルーティン化した作業」ではなく、一度に複数のタスクを行うような作業で脳は活性化する。複数のタスクが同時進行することは、通常の仕事や料理などの家事でも多くある。これらの日常作業でも脳への刺激は与えられるのだ。そして篠原さんは、刺激を与えることで脳は鍛えることができると言う。

「脳は筋肉よりも変化が速やかです。また、"脳も筋肉のように鍛えられる、使わなければ衰える"と言われますが、実は脳のほうが筋肉より早く変化するのです。例えば、脳トレの意味を理解し、何かの見方、感じ方を変えたとしたら、それはすでに脳のネットワークが変化したということ。筋肉の変化は一朝一夕にはいきませんが、脳の変化はもっと早い。そう考えると、上記の研究で、脳トレをする人、しない人で差が現れたこともうなずけます」(篠原さん)

「前頭前野」と記憶の引き出し「海馬」を鍛える3つのコツ

脳は刺激を与えれば鍛えられるとわかった。これからは、日常の中で脳トレ要素を組み込んで、脳の若々しさを維持したいものだ。

ここでは、年齢とともに萎縮が進む記憶の司令塔「前頭前野」の機能を高める3つのコツを篠原さんに教えてもらおう。

【コツ1】 ToDoリストには「不安」ごと書き出す

仕事のタスク管理に「ToDoリスト」を作っている人は、リモートワーク中は作り方を見直してみるといい、と篠原さんは言う。

「優先順位でToDoリストを作っていても、リモートワークでは仕事と家事がごっちゃに混ざります。優先順位で片付けようとしてもうまくいかず、いちいちやるべきことを考えるたびに脳のメモ帳が浪費されてしまう。シンプルに、時系列でやるべきことのリストを並べて、上から片付けていくほうが脳のメモ帳を浪費しないでしょう」(篠原さん)

リストを書き出すときに、気が重くなる案件もある。こんなときに前頭前野(脳のメモ帳)の負荷を減らすコツとして、「不安ごと書き出す」ことを篠原さんは勧める。

「不安傾向が高い人、また、ストレス度の高い課題ほど、前頭前野の活動は低下しやすいのです。そういう人ほど、不安を書き出すことが有効です。ぐるぐる考えても問題解決なんてできないのですから、外在化してしまえばいいのです。困った、どうしよう、という思いを外に出すと、脳のメモ帳が空いて、使いやすくなります」(篠原さん)

不安をともなうタスクほど、クリアした後に消す爽快感も高まりそうだ。

例)
上司とミーティング(やりたくない、早く終わらせよう)
取引先に連絡(緊張するなぁ。気が重い。でもやれば気持ちも軽くなる)

こんなふうに書き出すと、カウンセリングを受けたように脳の負荷が減るという。

リモートワークのコツをもう一つ。集中する場所をいくつか作る、ということだ。

会社のデスクでは集中できないのに、カフェではやたらと集中できたという経験はないだろうか。「同じ場所で記憶するより、場所を変えて記憶するほうが記憶効率が高まる、つまり海馬の働きが良くなることがわかっています。自宅内でも、リビングやソファなど仕事の場を複数用意しておくとはかどります。環境的に難しい場合は、机の角度を変えるだけでも景色が変わり、海馬の働きが高まるはずです」(篠原さん)

【コツ2】 心を込めて家事をする

「前頭前野は年齢とともに衰えやすいので、ここを活性化するには、あえて新たなことや、ややこしいことに挑戦することが必要です」と篠原さん。

手作業やものづくり、楽器演奏などは脳の前頭前野を活性化する代表的な行動だという。また、気持ちを込めることも効果的。「キャベツの千切りも、心を込める場合と込めない場合で比較すると、心を込めたほうがより前頭前野が活性化していました」(篠原さん)

また、料理や掃除も、複数のことを同時並行する「デュアルタスク」を心がけると前頭前野が活性化する。昨日より丁寧に仕上げる、10分以内に終える、といったミッションを自分で作り出してゲーム感覚で取り組んでみよう。

【コツ3】 ぼーっとする時間を意識的に作る

忙しくて疲れがたまっているときこそ、脳はぼーっとする時間を必要としている。

「自然の中を歩いたり、森や湖など自然の写真を見たりするだけで前頭前野の機能が増すという報告があります。刺激に満ちた環境にいると脳はストレスにさらされますが、自然に接すると脳が休まり、かえって機能回復するのです。また、ぼんやりしているときには、脳の記憶を統合し、ひらめきを導き出す"デフォルトモードネットワーク"という部位も活性化します」(篠原さん)。散歩をする、ゆっくり入浴するといった「なにも考えない時間」を大切にしよう。

さらに、コロナ禍の現在はより積極的に、ぼーっとする時間を確保したほうがいいようだ。「リアルな会議では、資料を見たり、ぼんやりどこかを見つめたりする時間があったはず。しかし、オンラインでは画面を直視するカメラ目線が要求されます。人は目と目が合うと本能的な恐怖感を覚え、不安や恐怖をつかさどる脳の扁桃体の活動が高まり、ストレスが高まるのです」(篠原さん)。オンライン会議のときには、カメラからは適度に視線を外すことも脳のストレス低減につながるようだ。

やる気スイッチ、「線条体」を鍛える3つのコツ

仕事のパフォーマンスを高めたいときやウオーキングや筋トレを続けるときには、意欲のスイッチ「線条体」の働きが重要だ。篠原さんによると、実は線条体も工夫次第でその働きを高めることができるという。では、線条体を鍛えるコツを教わろう。

【コツ1】 オノマトペで行動を表す

「線条体は、新たな行動を始めるときに活性化される部位。四の五の言わずにとっとと始めれば、線条体は発火し、やる気が生まれ、その行動は維持されます。行動というものは、始めてしまえばやめるほうが難しくなるという特質を持っているのです」(篠原さん)

仕事を「やりたくない」のも自分の脳、「やりたい」のも自分の脳。そこで、「やりたくない」脳を軽くだましつつ「5分だけやろう」「伝票の整理だけしよう」というふうに、「このくらいなら始められる」ことに仕事を分解して始めるといい。

このとき、オノマトペ(擬声語、擬態語)を使うと、使わない場合よりも脳活動が強くなるという。「オノマトペを使ったほうが脳は活性化します。その結果、線条体の活動もさらに高まりやすくなります。一例ですが『パッと立ち上がり、ダダッと歩いて、スッと座って、ガバッと資料を開いて、バリバリ片付けるぞ!』。こんなふうに言葉にしてみてください」(篠原さん)

線条体は、行動と快感を結びつける部位だから、だまされやすい一面もある。「筋トレをしながら『筋肉が喜んでる!』と言うのも線条体の活性にはプラスになります。そのうち本当にそのように思えてくるのです」(篠原さん)

【コツ2】 行動している自分を映像で思い描く

もう一つ、線条体の活動を高めるには「行動イメージを具体的に思い浮かべる」という方法も効果的だ。

「やらなきゃ、と言っているうちは、発話や聴覚に関わる部位の脳しか活性化しないのです。つまり、言葉だけが空回りしている状態で、行動につながる線条体は活性化していません。そこで、ビデオカメラで引いて見るように実際に行動している自分を思い描いてみましょう」(篠原さん)

例えばジョギングに行きたいけど今ひとつやる気が出ない場合は、さっそうと歩道を走る自分をリアルにイメージしてみる。

「次に、自分の目の場所にビデオカメラのレンズがあるように、自分の行動を思い描きます。玄関で靴ひもを締めて立ち上がりドアノブを回すところからイメージ。すると、行動につながりやすい運動野の活動が高まり、すんなりと行動につなげられます」(篠原さん)

【コツ3】 こまめに休憩して体を動かす。水を飲んだり首を冷やしたりして脳をクールダウン

集中力が続かない、と悩む人もいるだろう。「人間の集中力は何時間も持つようにはできていません。計算課題などのタスクを行っているときの脳活動を調べると、集中力は開始15~20秒ほどでピークとなり、7分もすれば、ダレてくる。そこからはなだらかに下がり、10分、15分ぐらいで切れてしまう。世の中もその集中サイクルで回っています。テレビのCMも10~15分で入りますし、講演なども起承転結を意識して長くて15分ぐらいを構成単位にするよう作られています」(篠原さん)

集中力が切れきってしまってから再度、線条体の活動を高めようとするよりは、10分、15分で休憩をしたほうが線条体の活動は維持されやすいという。

「休憩時には、深呼吸を。副交感神経が優位になり、落ち着いた気持ちになり、集中しやすくなります。トイレに立つ、うろうろするなど、体を少し動かすと線条体が発火しやすくなります。また、脳のクールダウンも有効。脳の温度が上がるとパフォーマンスが低下します。冷たい水を飲んだり、頸動脈など大きな動脈が通っている首を冷やしたりすると脳の働きがクリアになります」(篠原さん)

なお、これらの方法には個人差があり、「今日はこれでやる気が出たけど、別の日はだめだった」ということもあるはずだ。まずは気軽に試して、うまくいったら続けてみる。効果がない場合は、別のものを試してみよう。そうやって新たなことに挑戦することも、脳の若さキープにつながっていくだろう。

(ライター 柳本操、グラフ制作 増田真一)

[日経Gooday2021年6月28日付記事を再構成]

篠原菊紀さん
公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科 教授。専門は脳科学、健康教育学、精神衛生学。遊ぶ、運動する、学習するといった日常の行動と脳活動の関連性を調べ、脳トレの教材開発やギャンブル障害の予防、脳リハビリなどの研究を手がける。

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