やる気スイッチ、「線条体」を鍛える3つのコツ

仕事のパフォーマンスを高めたいときやウオーキングや筋トレを続けるときには、意欲のスイッチ「線条体」の働きが重要だ。篠原さんによると、実は線条体も工夫次第でその働きを高めることができるという。では、線条体を鍛えるコツを教わろう。

【コツ1】 オノマトペで行動を表す

「線条体は、新たな行動を始めるときに活性化される部位。四の五の言わずにとっとと始めれば、線条体は発火し、やる気が生まれ、その行動は維持されます。行動というものは、始めてしまえばやめるほうが難しくなるという特質を持っているのです」(篠原さん)

仕事を「やりたくない」のも自分の脳、「やりたい」のも自分の脳。そこで、「やりたくない」脳を軽くだましつつ「5分だけやろう」「伝票の整理だけしよう」というふうに、「このくらいなら始められる」ことに仕事を分解して始めるといい。

このとき、オノマトペ(擬声語、擬態語)を使うと、使わない場合よりも脳活動が強くなるという。「オノマトペを使ったほうが脳は活性化します。その結果、線条体の活動もさらに高まりやすくなります。一例ですが『パッと立ち上がり、ダダッと歩いて、スッと座って、ガバッと資料を開いて、バリバリ片付けるぞ!』。こんなふうに言葉にしてみてください」(篠原さん)

線条体は、行動と快感を結びつける部位だから、だまされやすい一面もある。「筋トレをしながら『筋肉が喜んでる!』と言うのも線条体の活性にはプラスになります。そのうち本当にそのように思えてくるのです」(篠原さん)

【コツ2】 行動している自分を映像で思い描く

もう一つ、線条体の活動を高めるには「行動イメージを具体的に思い浮かべる」という方法も効果的だ。

「やらなきゃ、と言っているうちは、発話や聴覚に関わる部位の脳しか活性化しないのです。つまり、言葉だけが空回りしている状態で、行動につながる線条体は活性化していません。そこで、ビデオカメラで引いて見るように実際に行動している自分を思い描いてみましょう」(篠原さん)

例えばジョギングに行きたいけど今ひとつやる気が出ない場合は、さっそうと歩道を走る自分をリアルにイメージしてみる。

「次に、自分の目の場所にビデオカメラのレンズがあるように、自分の行動を思い描きます。玄関で靴ひもを締めて立ち上がりドアノブを回すところからイメージ。すると、行動につながりやすい運動野の活動が高まり、すんなりと行動につなげられます」(篠原さん)

【コツ3】 こまめに休憩して体を動かす。水を飲んだり首を冷やしたりして脳をクールダウン

集中力が続かない、と悩む人もいるだろう。「人間の集中力は何時間も持つようにはできていません。計算課題などのタスクを行っているときの脳活動を調べると、集中力は開始15~20秒ほどでピークとなり、7分もすれば、ダレてくる。そこからはなだらかに下がり、10分、15分ぐらいで切れてしまう。世の中もその集中サイクルで回っています。テレビのCMも10~15分で入りますし、講演なども起承転結を意識して長くて15分ぐらいを構成単位にするよう作られています」(篠原さん)

集中力が切れきってしまってから再度、線条体の活動を高めようとするよりは、10分、15分で休憩をしたほうが線条体の活動は維持されやすいという。

「休憩時には、深呼吸を。副交感神経が優位になり、落ち着いた気持ちになり、集中しやすくなります。トイレに立つ、うろうろするなど、体を少し動かすと線条体が発火しやすくなります。また、脳のクールダウンも有効。脳の温度が上がるとパフォーマンスが低下します。冷たい水を飲んだり、頸動脈など大きな動脈が通っている首を冷やしたりすると脳の働きがクリアになります」(篠原さん)

なお、これらの方法には個人差があり、「今日はこれでやる気が出たけど、別の日はだめだった」ということもあるはずだ。まずは気軽に試して、うまくいったら続けてみる。効果がない場合は、別のものを試してみよう。そうやって新たなことに挑戦することも、脳の若さキープにつながっていくだろう。

(ライター 柳本操、グラフ制作 増田真一)

[日経Gooday2021年6月28日付記事を再構成]

篠原菊紀さん
公立諏訪東京理科大学工学部情報応用工学科 教授。専門は脳科学、健康教育学、精神衛生学。遊ぶ、運動する、学習するといった日常の行動と脳活動の関連性を調べ、脳トレの教材開発やギャンブル障害の予防、脳リハビリなどの研究を手がける。

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