2021年上半期ヒット曲 ストリーミング勢が上位を独占

日経エンタテインメント!

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2021年も半年が過ぎた。上半期のヒット曲はどうなっていたのか。音楽マーケッターとして市場分析を行っている臼井孝氏が、CDや音楽配信のセールスなど8項目からなるビルボードジャパンの21年上半期ヒットチャートから分析する。

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ルックアップはパソコンへの取り込み回数。集計対象期間:2020年11月23日~21年5月23日

上半期チャート全体を見ると、トップ10のうち9曲までがストリーミング部門でトップ10に入っている。またミュージックビデオ再生回数部門でも9曲、ダウンロード部門でも8曲がトップ10入り。つまり、今やストリーミングやYouTubeなど音楽配信がヒットのカギを握っていることが分かる。

これに対し、CDシングル部門で上位入りしているのはNiziUのみ。そもそも他の9作のうち、6作は、CDシングルが発売されていない。CDチャートは、現在のヒット曲とは別のヒット指標になったということだろう。

上半期総合1位となったのは、男性シンガーソングライター優里の『ドライフラワー』。ストリーミングも6月上旬に男性ソロ史上初となる3億回を達成するほどの人気だ。女性の心情を歌った切ないバラードで、洋楽リスナーにも好かれそうな力強くも繊細な優里の歌声も大きなポイント。上昇のゆるやかなカラオケ部門でもすでに1位なのは、それだけ強く共感されている証拠とも言えるだろう。

2位は、アニメ映画『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』の主題歌となったLiSAの『炎』。この上半期チャートは、昨年11月下旬から今年5月下旬までの半年間の集計なので、映画の大ヒットに加え、日本レコード大賞受賞や、紅白歌合戦をはじめとする大型音楽特番でのクライマックスでの歌唱など、年末年始にこの曲が盛り上がったことが反映されて2位となった。また、中高年層にも人気が広がったためか、ダウンロードでは今年唯一のミリオン達成曲となっている。

なお、9位のEve『廻廻奇譚』は、『鬼滅の刃』に続く大ヒットが期待されたTVアニメ『呪術廻戦』のオープニングテーマ曲で、こちらもストリーミングでトップ10入り。日本のアニメは、国内のみならず海外にも影響力が大きいので、ストリーミングで全世界の音源が気軽に聴けるようになった現在、ますますそのタイアップが重要となるだろう。実際、21年にリリースされた神聖かまってちゃんの『僕の戦争』(『進撃の巨人The Final Season』オープニング)や宇多田ヒカルの『One Last Kiss』(映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版』主題歌)は、Spotifyのグローバルチャートにランクインした。

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ヒットが前後の作品にも波及