ヒットが前後の作品にも波及

上半期チャートに戻ると、4位は前年の年間1位となったYOASOBIの『夜に駆ける』。昨年末の紅白歌合戦でのTV初歌唱を皮切りに、多くの音楽番組でも生歌唱するようになり、ロングヒットに拍車をかけた。

YOASOBIは、8位に新作の『怪物』と、10位に前年にリリースされた旧作の『群青』の3曲がトップ10入り。昨年デビューを果たした女性9人組のNiziUも、メジャーデビュー曲『Step and a step』が7位、プレデビュー曲の『Make you happy』が12位、そして今年リリースの新曲『Take a picture』が15位と、こちらはトップ20に3曲ランクイン。1曲がヒットすると、その前後の作品も長期的に注目されるというのも、現在の傾向と言える。

AKBや坂道系とともにCDチャートを席巻してきたジャニーズ系は、トップ20の中では18位のSnow Man『Grandeur』のみがランクイン。CDシングル1位(期間内だけで93万枚、最終的にはミリオンに到達する可能性も)、Twitter1位と、デビューした20年に続き、21年も大人気なのだが、やはり音楽配信未解禁では、総合チャートで上位入りするのは難しい。

とはいえ、パソコンへの取り込み回数のルックアップ部門は4位、ミュージックビデオ部門では20位に入り、楽曲やアーティストの魅力が伝わっていないわけでは決してない。現在、ジャニーズ系でストリーミングが解禁されているのは、嵐と、KinKi Kidsのソロプロジェクトの一部の楽曲、そしてKAT-TUNの新曲のみだが、国民的ヒットを多数有する勢力だけに、今後ストリーミングの解禁がどのように進んでいくのか注目される。

ルックアップはパソコンへの取り込み回数。集計対象期間:2020年11月23日~21年5月23日
臼井孝
1968年生まれ。理系人生から急転し、音楽マーケッターとして音楽市場分析のほか、各媒体でのヒット解説、ラジオ出演、配信サイトの選曲(プレイリスト【おとラボ】)を手がける。音楽を“聴く/聴かない”“買う/買わない”の境界を読み解くのが趣味。著書に『記録と記憶で読み解くJ-POPヒット列伝』(いそっぷ社)。
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