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NFTのトレーディングカード デジタル使い価値高める連載 エンターテック(12)

2021/7/30

エンタウオッチング

MTVジャパンやユニバーサルミュージックなどで、新規事業開発を担当してきた鈴木貴歩氏が、次世代の“エンターテインメント×テクノロジー”を探る連載『エンターテック』。今回取り上げるのはNFTのトレーディングカードです。

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ツイッターの創業者の初ツイートが3億円、VRアーティスト・せきぐちあいみの作品が1300万円で落札――今年に入り、デジタル資産の「NFT」という言葉が世間を騒がせています。

NFTは暗号資産(仮想通貨)の兄弟のような存在で、「Non‐Fungible Token」(非代替性トークン)の略。取引履歴を相互監視しながら情報共有できる、ブロックチェーン(※)で流通させることで、デジタルデータにもかかわらず、コピーや改ざんを防ぐことが可能となっています。冒頭に紹介した2つの事例もこの技術を利用したからこそ高額で落札されたのです。[※分散型台帳技術の1つで、世界中のサーバー間で同じデータを共有することにより、データの改ざん、喪失を防ぐことを可能にした安全なデジタル台帳]

今回は「NFTトレカ」という、NFTのトレーディングカードを昨年から発行する、coinbook代表取締役の奥秋淳氏に、NFTの可能性などを伺いました。

【解説】NFTとは
一点物のデジタルデータ。真贋証明書としても期待
非代替性トークンと呼ばれる、デジタル資産。暗号資産と同じブロックチェーン上で扱われているが、他と替えがきかない特徴があるため、唯一無二の価値を生み出すことができる。その結果、アート、オーディオ、ビデオといったクリエーティブな作品を、「一点物」として表すことが可能となっている。また、ブロックチェーン上に取引記録が全て残っていくため、真贋証明書のような使い方もでき、会員権や不動産の所有権といったものにも、今後は活用されていく可能性を秘めている。

アイドル経済圏をNFTで代替

鈴木 なぜ最近、NFTの注目度が上がっているのでしょうか?

奥秋 ビットコインをはじめとした暗号資産の価値が高まっていることが大きいですね。というのも、今年に入ってからオンライン決済サービスのPayPalが暗号資産での決済を認めるなど、暗号資産の社会的信用度が増すニュースが続いています。その流れで、同じブロックチェーンの技術が用いられているNFTに投資してみようというトレンドが生まれ始めました。

海外ではNBAやNFLの選手のトレーディングカードをNFTで発売して高値が付いていたり、日本でも集英社、カプコン、スクウェア・エニックスなどがコンテンツをNFT化すると発表したり、大きなIP(知的財産)を持つところも続々と参入する動きを見せています。

鈴木 coinbookさんは、SKE48さんのNFTトレーディングカードを昨年10月から発行していますよね。

奥秋 「エンタテインメント×ブロックチェーン」で何かできないかと考えた時に、海外で既にNFTコンテンツが盛り上がっていたことから、アイドルと組み合わせたら面白いんじゃないかと。アイドルの人気グッズの1つである生写真は、ファン同士で交換したり、転売も行われるなど、一種の経済圏が出来上がっている。それをNFTで代替できればと思ったんです。

コレクションしたNFTトレカは、NFTマーケットプレイス「nanakusa」で出品、売買が可能となっている

現在、SKE48の「NFTトレカ」を第3弾まで発売しているんですが、第1弾は昨年10月3~5日開催の「12周年記念公演」の模様を収めたもの。全13公演だったんですが、各公演の写真をNFTトレカとして、5枚入り1100円(税込み)で販売。ライブ終了後、数時間後に購入できるようにしたタイムリーさも評判になりました。

各カードには発行数を設けているので、同じカットのトレカは世の中にその数しか存在しないよう調整しています。様々なデータも書き込めるため、映っているメンバーの名前や、いつ何時にスタートした公演の、どの曲の時に撮影されたのかという情報まで分かるようになっています。

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