2021/7/7

蒼太 「この人は内定を辞退しないか、就職後も長く働いてくれるのか」という不安を解消したい、ですよね。

安藤先生 そうですね。率直に言って、南さんの志望理由は、企業側の不安に答えていません。これが改善すべき点の2つ目です。

蒼太 うーん。企業のホームページや採用パンフレットをみて、自分が共感した点について考えて書いたつもりなんですが……。

安藤先生 南さんがそのように考えて書いたということはわかります。しかし例えば、志望動機に書いてある「チャレンジ精神」や「スピード感のある経営」は、経営努力している企業であれば、どの企業も目指していることですよね。これらの言葉は、他の企業向けの志望動機として書いてあっても不自然ではありません。

もちろん「スピード感のある経営」については社長向けのプレゼンテーションという具体的な内容があるので、他社向けに書いたESを使い回したとは思わないでしょう。しかしESの読み手である採用担当者からすると、どの企業でも当てはまることが書かれていたら、「うちの会社である必然性」については納得できないと思いませんか?

蒼太 確かに、多くの会社が目指していることですね。よく考えるとDリノベーションでないといけない理由にはなっていないです。

志望動機では「なぜ数ある企業の中で当社を選んだのか?」という疑問に答える必要がある(写真はPIXTA)

安藤先生 そうなんです。企業は、志望動機を通じて「この人は、内定を辞退しないか、就職後も長く働いてくれるのか?」といった不安を解消または軽減したいのです。そのためには「なぜ数ある企業の中で当社を選んだのか?」という疑問を解消する内容が記載されている必要があります。

就活の時間には限りがあるからこそ

蒼太 うーん。でも、ちょっと待ってください。それって難しくないですか?

自分の勉強不足を棚にあげて申し訳ないですが、そもそも企業のパンフレットやHPから読み取れる情報には限界があります。たくさんの企業を受ける僕たちは毎回具体的なことを書かなきゃいけないんでしょうか? 正直、どれだけ時間があっても足りません。

安藤先生 南さん、だからこそよく考えて行動する必要があるのです。就職活動に使える時間には限りがあります。

最近はそこまであおる風潮はなくなりましたが、以前は就活サイトの情報をうのみにして100社近くの企業にサイト経由でプレエントリーする学生もいました。しかし100社も調べるのは非現実的です。そして「数を打った」からといって当たらないことも理解する必要があります。最終的に相思相愛と思える1社と出合えればいいのであって、数多くの企業から内定を得ることに本質的なメリットはありません。

蒼太 確かに、大手企業から複数の内定を得た学生の話が武勇伝のようにネットで広まっているので、自分もたくさん受けて、できればたくさんの内定をもらえたらカッコイイかなと、正直思っていました。

安藤先生 自分に合った企業を選ぶためには、自分がどんな働き方をしたいのか、どんな分野で貢献できそうかなどをよく考えておく必要があります。その上で企業がどんな人材を必要としているのかを理解できれば、何を書けば相手に「自分たちが相思相愛であること」が伝わるのか自然と見えてくるでしょう。

先ほど志望動機の1点目については、「先輩の話をきいて具体的に働きたいと思った理由が示されている」と評価しました。それは南さんならではの視点が入っていたからなんです。南さんの人柄が見える記述には意味があります。

すべての企業に直接の先輩がいるわけでもなく、すべての企業でインターンシップ(就業体験)を経験することもできないので、1点目と同じような具体性をもって志望動機を書くのは難しいかもしれません。しかしそれでも、その企業を志望しているからには、何らかの理由があって「その企業で働きたい」と考えたわけですよね?

蒼太 そうですね、ただやみくもに企業を受けようとは思っていません。

安藤先生 そうですよね。これから自己分析や業界研究・企業研究を進めていくことになりますが、ひとまずDリノベーションに好意をもった具体的な理由をもう少し深掘りしてから、ESを改善してみてください。

蒼太 わかりました。もう一度書いてみたいと思います。ESを書くときに他に注意すべきポイントはありますか?

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