即日完売を連発 「nasne」、終売から復活への軌跡

バッファローの「nasne NS-N100」。販売は現在アマゾンのみで、実勢価格2万9800円(税込み)(写真提供:バッファロー)
日経クロストレンド

バッファローが2021年4月に発売したネットワークレコーダーの「nasne(ナスネ)」の出足が好調だ。アマゾンのネット販売では、入荷するたびに1日で売り切れる現象が何度も起きている。バッファローもこの品薄は予想外だと語る。その人気の裏には、「継承」を意識した製品開発と、機械学習を用いたユニークな価格決定プロセスがあった。

バッファローの「nasne」は、アマゾンで6月末までに受注のアナウンスを9回行ったが、いずれも24時間以内に完売している。これはAV家電に詳しい人にとっては意外かもしれない。それは、nasneが9年前の12年から存在する製品で、今でもできることがほとんど変わっていないからだ。そもそもnasneを開発したのはソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)で、19年に出荷が終了している。つまり1度は終わった製品なのだ。

バッファロー版のnasneが成功した理由を一言でいえば、販売終了で困っていたSIE版nasneの利用者を残さず捉えた上で、テレビ視聴形態の変化に伴って増えた需要を掘り起こすことができたからだ。

その理解のためには、どこがnasneならではの特徴かを把握しておく必要がある。nasneは、ネットワーク経由でテレビ放送を視聴・録画するレコーダーの一種だ。テレビチューナーと録画用のハードディスクを内蔵し、さらにLAN端子を備える。これを家庭のテレビアンテナとWi-Fiルーターなどに接続すると、パソコンやスマホなどでテレビ番組を視聴・録画・再生できる。専用アプリをインストールしていれば、自宅だけでなく外出先でも視聴可能。タブレット(Android、iPad)や「PlayStation 4」も利用できる。

SIEが12年8月に発売した「nasne CECH-ZNR1J」。当時の価格は1万6980円(8%税込み)。現在販売中のバッファロー版nasneと外観はほぼ同じ(写真提供:SIE)

12年当初はスマホ視聴自体が画期的だったが、2~3年後にはパナソニックの「DIGA」シリーズや、東芝映像ソリューション(現・TVS REGZA)の「レグザブルーレイ」などのブルーレイレコーダーも、似た機能を搭載し始めた。それでもnasneは、専用のスマホ・タブレット用アプリ「torne mobile」に、番組中の見たいシーンを探す機能が豊富にあることに加え、動作が滑らかであるといった特徴があり、根強い人気があった。

nasne用のスマホアプリ「torne mobile」の画面。PlayStation用のアプリ「torne」と基本的に同じ操作で、テレビ番組や録画番組を見られる(画像提供:SIE)

しかしSIEは、19年6月にウェブサイト上でnasneの「近日出荷完了予定」を突然アナウンスした。直接の理由は、それまでnasneで使われていた一部の部品が、ある半導体メーカーの撤退によって調達できなくなったことにある。nasneの売り上げが以前より減っていたこともあり、SIEは後継機を開発しないという決断を下した。

だが、軽快に動作するnasne以外は考えられないという人は多く、Twitterには「困る」「どうしよう」と、販売終了に困惑する声が相次いだ。故障などに備えて最後の在庫を購入しようとする人も多く、直前まで税込み2万4200円ほどだったnasneの実勢価格は、同3万~4万円に急騰した。

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外観、機能ともにSIE版の完全継承を目指した
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