ただ、海外進学にはもう一つの大きな壁がある。米有名私大の学費は日本円で年間500万~600万円と高額。しかも寮費や食事代など生活費が別途かかる。資産家の子弟でない限り、入学前には奨学金の手当てをしておく必要がある。

柳井正財団は毎年、米国進学の場合、上限9万5000ドル(約1000万円)の奨学金を支給しているが、対象は米英のトップランクの大学に進学する20人前後の学生に限られる。海外大に合格後、進学したい人は柳井財団などの奨学金獲得にしのぎを削る。金子副校長も「柳井財団は貴重な存在だ。このような財団の合格者を増やすのも今後の課題だ」という。

これまで海外大に進学するのは、学費の高いインターナショナルスクール出身者ら限られた子弟が中心だった。しかし、グローバル人材育成を目指す渋谷教育学園渋谷高校や同幕張高校をはじめ、開成高校、灘高校など全国有数の進学校でも海外大志望が増えている。さらに、国や自治体の後押しで、国際バカロレア認定校が増えるなど海外大への進学を支援する動きが広がっている。

教育出版サービスを手掛ける大学通信(東京・千代田)の安田賢治常務は「海外大の合格では、広尾学園は断トツの実績だが、都内では都立国際高校や東京学芸大学付属国際中等教育学校も伸ばしている。地方の高校でも京都府の立命館宇治、広島県のAICJ、沖縄県の沖縄尚学などでも急増している。教育に国境はなくなるだろう」と話す。東大をヒエラルキーの頂点として保守的だった日本の教育界。グローバル化の波が一気に押し寄せてきた。

(代慶達也)

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