カメラは確かに素晴らしいが…

AQUOS R6のカメラは、1インチのセンサーを搭載している。前モデルAQUOS R5は1/2.55インチなので、面積が約5倍になったということだ。

そもそもセンサーは、情報(光)を取り込んでデータ化するための仕組みだ。要するに昔のフィルムカメラのフィルムと同じような役目をしている。センサーが大きければレンズを経由して入ってきた情報をたくさん取り込める。情報量が多いほど画像が美しくなる。これは画素数とは別の話で、AQUOS R6のカメラは2020万画素とそれほど高いわけではない。

さて、実際に撮影した写真を見てみると、「素晴らしい」と感心する人と、「あれ? それほど美しくない」と感じる人に分かれそうだ。AQUOS R6のカメラを一言で表現すると、「大人っぽい」のだ。

今回は、韓国サムスン電子のGalaxy S21 Ultraと比較したが、AQUOS R6の写真はとても自然な色合いでぱっと見が地味だ。やや加工しすぎの感があるGalaxy S21 Ultraと並べてみると、「穏やかすぎる」ともいえる(もちろん、どちらの機種も後から加工できる)。

近所の公園の作例。上がAQUOS R6で、下がGalaxy S21 Ultra(以下、同)。ぱっと見はGalaxy S21 Ultraが派手できれいだが、AQUOS R6のほうが描写が自然で、赤い遊具などはより立体的に見える
同じく近所での作例。こちらもGalaxy S21 Ultraはスマホらしくメリハリがある写真。一方、AQUOS R6はデジカメで撮ったように落ち着いた印象だ
花の作例。AQUOS R6は普通に撮影しただけで背景がきれいにぼけているのはすごい
夜景の作例。どちらもとても美しく撮れた。細かく見るとAQUOS R6は電気の部分の白飛びが少ない

今や、3万円クラスのミッドレンジスマホのカメラでも、かなり美しく撮れる。ほとんどのユーザーはそれで満足するだろう。

さらに上を求める――カメラで言うなら高級一眼レフを求めるような人に向けたスマホがAQUOS R6なのだろう。

気になる価格は、NTTドコモのオンラインショップで11万5632円、ソフトバンクが13万3920円となっている。

戸田覚
 1963年生まれのビジネス書作家。著書は150点以上に上る。パソコンなどのデジタル製品にも造詣が深く、多数の連載記事も持つ。ユーザー視点の辛口評価が好評。