本書を読むと、複雑に入り組んだ世界情勢を笑い飛ばすような、こうした「小話」が満載です。クスリと笑えるジョークでありながら、わかるわかると共感を引き寄せる表現の数々。本書で紹介されている、トランプ前米大統領が、米国とメキシコの国境に築くと考えた「壁」を巡る公約もこんなジョークで一笑にふされています。

アメリカで新型コロナ感染者が爆発的に増えると、メキシコの大統領がトランプ大統領に電話して言った。
「国境の壁の完成を急いでほしい」
(第1章 武漢のバットマン 28ページ)

続いて紹介される、前大統領とその婦人に関する話題もジョークの対象になっています。一読すると、まことに辛辣と言わざるをえません。トランプ前大統領は新型コロナに感染したと報じられ、ジョークの域を超えてはいますが、それを痛烈に批判する精神がうかがえます。

トランプ大統領とメラニア夫人にコロナウイルスの陽性反応が出た。
夫人がトランプ氏と濃厚接触したことの方が驚きだ。
(同 29ページ)

米大統領選もジョークの対象に

世界の超大国である米国の盟主を決める4年に1度の大統領選も、本書では、手厳しくジョークで批判されています。女性スキャンダル問題を抱えたクリントン元米大統領の顔ぶれも登場します。一見、夫婦関係を揶揄するような表現にも、市民の健全な批判精神がうかがわれ、同時に、クスリと笑わせてくれる題材を提供してもくれます。

2012年の大統領選。再選を狙うオバマ大統領は不人気のバイデン副大統領に代えてヒラリー・クリントン国務長官を副大統領候補に起用することを検討した。
すると、クリントン元大統領がオバマ氏に止めるよう説得した。
「ヒラリーをパートナーにして苦しむのは、私だけで十分だ」
(第2章 大統領のバトル・ロワイヤル 53ページ)
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米中覇権争いも話題に