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健康・医療
from 日経Gooday

2021/7/1

from 日経Gooday

「バランスボール」を使った運動がベスト!

さて、スポーツは競技や種目によって動きが異なります。そのため、ウオーミングアップで行う動的ストレッチも、競技の特性に合わせた内容と順番で行います。

長時間のデスクワークというスポーツに適した動的ストレッチとは、いったい何でしょうか。デスクワークでは、先ほども述べたように、姿勢が固定された状態で筋肉の緊張が続くので、筋肉の伸長・収縮が行われず、血液の循環が悪くなったり、体の一部に負担がかかったりすることで、痛みが現れます。

バランスボールを使った準備運動がベスト(写真はイメージ=123RF)

テレワークの準備運動としてベストなのは、バランスボールを使ったウオーミングアップです。仕事の前にバランスボールに座り、腰を大きく回したり、前後左右に動かしたりして、腰椎の周りの筋肉をしっかりほぐします。

すると、血液の循環が良くなり、腰が楽になったように感じられるでしょう。続けて、同じく筋肉が固定されやすい肩や肩甲骨回りなどを動かす動的ストレッチを行うとなおよしです。

また、バランスボールがなければ、全身の動的ストレッチであるラジオ体操でもいいでしょう。腰や肩の回りがほぐれ、気分もスッキリします。

朝だけでなく、昼の休憩の後などにもちょこちょこと動的ストレッチを行えば、テレワークによる腰痛や肩こりなどの不調を予防できるはずです。

テレワークだからこそ「オンラインで一斉に準備運動」

テレワークや自宅勤務が急増したことにより、ビジネスパーソンの体力低下だけでなく、メンタル面での不安が問題になっています。

この問題への対策として、私が所属するスポーツモチベーションは、この春から、IT企業のウェルネス経営の取り組みをスタートしました。現在、hacomonoさんの従業員のコンディショニングを担当しています。

hacomonoさんは、コロナ禍でほぼ100%テレワークへ移行したことで、従業員のみなさんは外出する機会が激減し、運動不足になっていました。そこで、朝20分程度のオンライングループトレーニング・ストレッチをスタート。毎週火曜~金曜は、始業前に従業員全員がパソコンの前に集まり、オンラインでつながったトレーナーと一緒に体を動かします。これがまさに、仕事前のウオーミングアップです。

株式会社hacomonoでは、1日のスタートに従業員で一斉にオンライントレーニングを行う

通常のテレワークでは、朝起きて、朝食をとり、準備もそこそこにズルズルと仕事を始めがちですが、就業前に運動することで、頭も体もスッキリした状態で仕事に取り組めるようになったとのことです。

また、従業員が何かを一緒にやる機会も失われていましたが、朝のオンライントレーニングで、みなさんのコミュニケーションも活発になったと聞いています。トレーニングのあとに朝のミーティングがスタートするのですが、「今日のトレーニング、ちょっときつかったよね」「気持ちよかったね」など、運動をきっかけに、自然と会話が生まれているそうです。

運動は、体への効果だけでなく、抑うつ状態の予防などメンタル面にも良い影響が期待できることが、さまざまな研究で明らかになっています。1人で行うよりも、みんなで行うほうが、メンタル面への効果が増すのではないか、ということを今回の取り組みを通じて感じています。

【中野さんからのアドバイス】
テレワークによる社員の体調不良を減らすには…

▼テレワークを「スポーツ」ととらえ、就業前に準備運動を行う
▼ベストな準備運動は「バランスボール」。腰回りをほぐそう
▼朝に行う「ラジオ体操」でもよい
▼社員一斉に行えばメンタル面のケアも一石二鳥

(まとめ 長島恭子=フリーライター)

[日経Gooday2021年6月16日付記事を再構成]

中野ジェームズ修一
スポーツモチベーションCLUB100技術責任者/PTI認定プロフェッショナルフィジカルトレーナー。フィジカルを強化することで競技力向上やけが予防、ロコモ・生活習慣病対策などを実現する「フィジカルトレーナー」の第一人者。元卓球選手の福原愛さんやバドミントンのフジカキペア、プロランナーの神野大地選手など、多くのアスリートから絶大な支持を得る。2014年からは青山学院大学駅伝チームのフィジカル強化指導も担当。早くからモチベーションの大切さに着目し、日本では数少ないメンタルとフィジカルの両面を指導できるトレーナーとしても活躍。『医師に「運動しなさい」と言われたら最初に読む本』(日経BP)などベストセラー多数。
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