「だから彼らには繰り返し『評価するのは、出来上がった音楽でありパフォーマンスだから』と伝えたわけです。そう伝え続けたことで、彼らの意識やモチベーションも『受かりたい』『デビューしたい』ではなく、『いいものを作りたい』になっていったのがうれしかったですね。その土台ができたことで、ようやく自分が具体的なディレクションをしても、『指摘されちゃったから直さなくちゃ』ではなく、『そこを直せば、もっといいものが作れるんだな』と考えられるようになるから。

自分という存在に萎縮しないでものを作っていく環境がなければ、実力も伸びないと思っています。そのためにはまず自分が『この子はこういうアーティスト性なんだな』というのをきちんと受け止めて、それぞれに対して、そのアーティスト性がさらに伸ばせることをしていく」

「時代が変わった」潮目を体現する12人

残念ながらこのクリエイティブ審査で3人が席を失い、残るは12人となった。残った12人は6人ずつ2グループに分かれたパフォーマンスの審査に進んだ。

「12人に残すか残さないかで考えたのは、主に2つの点です。1つは、最終的に出来上がるグループにおいて、『席がない』人ではないかどうか。デビューできるメンバーはたったの5人。本当に『席』が少ないんです。脱落した3人は、最終メンバーとしてそれぞれに担ってもらう役割や技術などを考えたときに、どの組み合わせになっても輝ける可能性が高くなかったということ。

もう1つは、クリエイティビティ。もちろん作詞作曲のコンテストではないのですが、音楽をちゃんと聴いていたら、作ったメロディーが音楽の求めているものに沿っているか沿っていないかは分かると思うんです。そこでアイデアを出して、いいものを作ることにどれだけどん欲であれるか。もしくはアイデアがクリエイションのためになっているか。

残った12人にはこれまで以上に期待してください。この6人×2グループのところで、僕は証明したいと思っているんです。ルックス、パフォーマンス、音楽性……全てにおいて『あ、時代が変わった』という証明を。もしかしたら僕は今、世間の全てをひっくり返しているところかもしれません」

SKY-HI(日高光啓)
 1986年12月12日生まれ、千葉県出身。ラッパー、トラックメイカー、プロデューサーなど、幅広く活動する。2005年AAAのメンバーとしてデビュー。同時期からSKY-HIとしてソロ活動を開始。20年にBMSGを設立し、代表取締役CEOに就任。「THE FIRST」のテーマソング『To The First』が配信中。

(ライター 横田直子)

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