「クリエイティブ審査では、チームそれぞれにいろいろなことが起こりました。チームが抱える問題に気づいて自主的に話し合いの場を設けたり、自身が抱えている悩みをメンバーに吐露したりとか。全て自然に起きたことを追っているだけ。見ているこちらも『どうなっちゃうんだろう』と、本当にドキドキしました。

僕自身は番組で放映されている彼らの練習風景や部屋での会話は全く見ていません。ただ、プリプロルーム(プリプロダクション=音楽制作において仮録音をするための部屋)にいて、彼らが来たときの空気感や表情、声で、今どんな状態かが分かるんです。特に声は、元気がないのか、うれしいのか、何か悩んでいるのか、うまくいっているのかいっていないのかが顕著に出る部分で、分かってしまうんです。そこで自分自身が感じたものと、映像で確認した彼らの状態の間に、ほぼ差異がなかったことがすごいなと。褒めてほしいですね(笑)。

それはともかく、プリプロルームで感じたことを基に、彼らの抱えているものを少し出してあげるような作業はしました。例えば、自分がチームに対して思っていることがあるのにメンバーに伝えられない子がいるなと感じたら、助け舟を出してみたり」

かける言葉を選ぶ難しさ

「クリエイティブ審査では、僕自身も彼らに伝えたいことがたくさんありました。ただ、難しかったのは、クリエイティブ審査と銘打っている以上、僕はディレクションするけれども、クリエイティブに関して彼らにアドバイスしすぎては審査を逸脱してしまう。本当は歌い分けとかメロディーに関しても口を出したかった。けれども今回は、パフォーマンスするにあたっての技術と心のディレクションがメインだから、ギリギリのラインに留めました。

もう1つ、気をつけたのは、彼らにとって僕自身は、テレビだったりステージだったりYouTubeだったりで目にしている存在だという点。下手にクリエイティブに関して『こうしたほうがいい』と言ってしまうと、それを『絶対的な正解』としてとらえてしまう可能性もあるんですよ。しかも自分が審査の采配を振るっているわけですから。もう……専制君主になっちゃう。それは絶対に避けなくてはいけないこと。だからサバイバル型である以上、みんなの気持ちが『僕がどう評価するか』に向かいすぎないように、ディレクションも相当慎重に言葉を選びました」

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