「K,D,C,,,(キムチ、ドリアン、カルダモン)」には、緊急事態宣言で行き場をなくした農産物などを活用した、話題のかき氷も(7月14日まで)

KDCは、ビルの3階をシェアダイニング、4階をシェフや生産者、食品・調理機器メーカー、メディアなど食の関係者が集まる会員制のコワーキングスペースとして運営している。会議室もある通常のオフィススペースのほか、食品衛生法に基づく食品関係営業許可も取得済みという大きなプロ仕様の厨房まで備えている。今後、飲食業界で新しいビジネスを興したい人が、様々な形で利用できそうなユニークな設備だ。

一般の人により身近なのは、シェアダイニングだろう。誰でもふらりと立ち寄れるイートインスペースで、テーブルと椅子を囲むように厨房ブースとドリンクを提供するブース、計4カ所がある。取材時には、かき氷店(緊急事態宣言で卸値が急落したり、行き場をなくしたりした食材をかき氷に活用)、イタリアンシェフと産直通販サイトの「食べチョク」が期間限定でコラボしたイタリア料理店、都内のフレンチビストロ、新潟や東北発のフルーツで作るジャムとドリンクの店と、ジャンルの異なる飲食店4店がオリジナルメニューを販売していた。

出店者は都内に限らず全国から募るという。2週間~1カ月ごとに店舗が入れ替わるため、客は来店する度に新しい味を体験できて楽しい。一方、出店者も人が集まる新大久保で新たな客層にPRできる。

よくニュースに取り上げられている、ギョーザや肉などの「食のフェス」と同じ仕組みなのだろうか、きいてみた。

「そうですね。ただここはフェスよりも長期間営業できますし、厨房やテーブル、椅子などの什器(じゅうき)も簡易的でなく、通常の飲食店と同じです。出店者様からいただくのは売り上げの一部のみで、機材などのレンタル料はすべて無料です。必要なのはメニューに使う食材だけで、出店の敷居が低いことがメリットです。国際色豊かな新大久保の街で、世界中の食材や人、アイデアが集まる、食の実験室のような場所になればと思っています」(服部さん)

KDCの3階はシェアダイニング、4階は食関係者のコワーキングオフィス

取材時には若い女性やカップル、シニア客、スーツを着たビジネスマンなど幅広い層の客が自由に食事やカフェを楽しみ、公園などで開催されるフェスとはまた異なる、新しい飲食空間という印象だった。

以上、新スタイルの食の施設、2カ所を紹介した。長期のステイホームで、人とのつながりや、未知の味やサービスとの出合いに飢えていた筆者自身、どちらも非常に楽しめた。コロナで苦汁を味わいながらも、東京の飲食業界ではこうしてさらに進化を続けている例もある。ぜひ足を運んで、彼らの活力も受け取っていただければ幸いだ。

(フードライター 浅野陽子)

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