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2021/7/2

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完全天日塩は大粒のものが多い

一口に「完全天日塩」といっても、特徴が異なる。フランスのゲランドひとつとってもそう。結晶池にためられた濃縮海水は、太陽光と風を浴び、ゆっくり表面から結晶していく。表面にできた結晶、「塩の花(フルール・ド・セル)」は収穫量が少なく、希少品として扱われている。ナトリウムの構成比が比較的高く、しょっぱさが強いものが多い。

一方、中層にできる大きな粒状の結晶、「グロ・セル」はにがりを多く含み、全体的にしっとりしたものが多い。しょっぱさ以外の苦味や酸味、うまみなど味わいも複雑。食感もガリガリとしている。

「グロ・セル」をしっかり自然乾燥させ、細かく砕いた「ムリュ」は、口溶けが良く、グロ・セルよりしょっぱさを感じる。同じ塩田でも、商品化するタイミングや自然乾燥の仕方、砕き方でこれだけ違う。ましてや生産国が違ったり、塩田の土壌が違ったりすれば、特徴は当然異なるわけだ。

どの完全天日塩がおすすめかは、お好みによるので、実際に試してもらうしかない。以下、店頭で比較的入手しやすい完全天日塩をご紹介するので、参考にしてみてほしい。

◆ゲランドの塩 ル・ゲランデ グロ・セル・セシェ(フランス/ナック)

塩田から収穫した大粒の結晶を乾燥させたもの。乾燥前のグロ・セルはにがりを多く含み、しっとりしている。土壌のミネラルも含み灰色に色づいた塩は、しょっぱさ以外にも甘味やうまみ、おいしい苦味が感じられる。「ほのかにすみれの香りがする」と表現するシェフもいる。魚介類、特に白身魚を使った料理におすすめ。

◆海の精 ほししお(日本・東京都・伊豆大島/海の精)

ネット式の立体塩田に海水をかけ流し濃縮した後、温室内に設置した箱の中で結晶させたもの。ザラメのような結晶で、カリカリした食感。しょっぱさ以外にほのかな甘さやうまみがあり、後味はクリアでキレが良い。脂身の多い肉類を焼いた際に、ぱらりとかけるといい。

◆カンホアの塩 結晶のまま(ベトナム・カンホア/カンホアの塩)

機械化が進む中で、この塩専用の塩田で昔ながらの製法で作られる。塩の結晶をそのまま天日干しして乾燥させた。カリッとした食感でトッピング用途におすすめ。各種ミネラルが層状になっているため、溶ける過程で味わいが徐々に変化する。結晶の食感を生かし塩パンやプレッツェルのトッピングに。

日本では他にも完全天日塩は流通している。生産地や生産者の想い、製法などを知れば、きっとその塩に魅了されるはず。そんな魅力を知って、ぜひ試してみてほしい。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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