消費者の好みに合わせ、広がったバリエーション

味の面では、その後も時代の変化に合わせてバリエーションを増やしていった。2005年には、「母の手作りに学んだ体に優しいカレー」というコンセプトで「ボンカレークラシック」を発売(既に販売終了)。健康志向を意識した製品をアピールした。09年には「母が家族のために愛情を込めて手間暇かけて作る」カレーとして、牛肉をローストし赤ワインで風味をつけるなどの作り方にまでこだわった「ボンカレーネオ」を投入した。

「Theボンカレー」はパッケージにも高級感を出した

外食で高級カレー店が増えてくると、「外食のような品質を家庭でも味わえるようなカレーを」(伊藤氏)と、「Theボンカレー」を開発。角切りビーフ、本格ブイヨン、牛テールスープなどを使い、香味野菜などを炒めた後にソースを煮込む「二段仕込み」を売りにした。

ボンカレー発売から50年を迎えた18年には「ボンカレーGRAN」を発売。カレーの種類が多様化する中で「スパイス香るバターチキンカレー」「野菜の旨みとけこむベジタブルカレー」など、消費者が持ち始めた「より特化した好み」もラインアップに加えた。

50年以上におよぶボンカレーの進化を振り返るうえで注目したいのが電子レンジへの対応だ。当初は湯せんで3分間温めることで食べられるように、レトルトパウチにアルミ箔を使った世界初の「アルミパウチ」を使った。パウチの耐久性が向上したおかげで、全国への輸送も可能になった。ボンカレーを全国的なヒット商品に押し上げた一因がアルミパウチだったわけだ。

しかし、パウチにアルミ箔が入った構造だと、火花が出るので、電子レンジでは使えない。加えて、レトルト食品はレトルト釜の中で殺菌のために加熱しつつ、パウチ内部が膨張・爆発しないように加圧・調整する。「家庭でのレンジ加熱では爆発事故が相次ぐのではないか」「お皿に(パウチ内の)カレーを移して、ラップをかけて温めればいいのだからレンジ対応は不要では」という反対意見が社内では相次いだという。

一方で、電子レンジの国内普及率は1990年代には95%を超えていた。エネルギー消費量も、お湯を沸かして湯せんするより、電子レンジで加熱した方がずっと小さいという調査結果もあった。

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健康志向、高齢化、中国進出などに幅広く展開