レンジローバーFifty 世界限定1970台の50周年モデル

2021/8/22
ランドローバー・レンジローバーFifty(4WD/8AT)
ランドローバー・レンジローバーFifty(4WD/8AT)
webCG

ランドローバーの旗艦「レンジローバー」がデビュー50周年を迎えた。世界限定1970台の「Fifty(フィフティー)」は、このアニバーサリーを祝う特別なモデルだ。コマンドポジションの運転席に収まり、砂漠のロールス・ロイスが駆け抜けた偉大なる半世紀に思いをはせた。

レンジローバーは憧れだった

あれは1980年代後半のことだったから、まだ日本にレンジローバーが正規輸入される前のころだ。初めてヨーロッパのクラシックカーイベント(コルチナ・ダンペッツォを中心としたコッパ・ドーロ・デレ・ドロミテだったと思う)を取材した際に目についたのがレンジローバーだった。イタリア製のバルケッタも英国製のビンテージモデルでも、トレーラーに載った参加車を引っ張るのは決まってレンジローバーだった。その光景を見て初めて、当時業界の大先輩たちが面倒な手続きを覚悟のうえで個人輸入していることが少しは理解できた気がした。ポルシェが「カイエン」を開発したのはそんなマーケットを狙ったのだろうと私は考えており、実際に2002年以降は「356」や「550」を積んだトレーラーをけん引する「カイエン ターボ」を見かけるようになったものである。

“セカンド・レンジ”でどこかの貴族の領地を走り回ったのは『カーグラフィックTV』の英国取材の際だった。森も牧場もあれば荒地もあり、渓流も流れているといった美しい公園のような場所を、ものすごく頼りになる現地コーディネーターのスティーブと荒木さんが、クルマ好きのつてを頼って見つけてきたはずだ。その時にはAピラーに取り付けたフライロッドホルダーにすぐ使えるように準備したロッドを差し込んだまま、自分の領地を突っ切って釣りに行くという領主さまのレンジローバーを見かけた。なんとまあすてきなカントリーライフだろう。クラッシィーとはこのことで、これだから英国は軽視できないのである。

子どもに自動車の絵を描かせると皆ミニバンのような形を描くと言われたのは平成のころの話で、令和の今では間違いなくSUVというぐらいに当たり前になったが、こういう背景を持つレンジローバーは現在の4代目(2012年デビュー)でも別格だ。4WD専業メーカーとしての伝統とプライドは(今ではFWDもあるが)、昨日今日SUVをつくり始めたところとは年季の入り方が違う。ついSUVという呼び名を使ってしまったが、本当はレンジローバーを他のSUVと一緒くたにしたくはない。まあジャガー・ランドローバー・ジャパンも自ら、「世界で最も上質なSUV」などと称しているので、固いことを言うのはよそう。もちろん、本質は変わっていない。かつてのスローガン通り、依然として「The Best 4×4 by far」である。

1970年にデビューし、2020年に誕生50周年を迎えた「レンジローバー」。2012年に登場した現行モデルは第4世代となる。
各所に「プラチナアトラス」カラーのアクセントが加えられるのが「Fifty」の特徴だ。写真はフロントの「RANGE ROVER」ロゴとグリル。
リアの「autobiography」バッジも「プラチナアトラス」だ。
ボディーサイドのアクセントも「プラチナアトラス」。ランドローバーのチーフクリエイティブオフィサーであるジェリー・マクガバンの手になる「fifty」ロゴも添えられる。
タイヤ&ホイールは22インチを標準装備。試乗車はピレリの「スコーピオンヴェルデ オールシーズン」を履いていた。
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