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ベテラン人材は会社にどう貢献できるのか(写真はイメージ=PIXTA)

ベテラン人材は会社にどう貢献できるのか(写真はイメージ=PIXTA)

ベテランが付加価値を提供できる人材として重要な観点は何でしょうか。KPMGコンサルティングで組織・人事分野を手がける油布顕史プリンシパルに、ベテラン人材が陥りやすい行動や言動を例に取り上げながら語ってもらいました。

「うちのベテランは正解を求める人が多い。だから部下は皆、正解を探すようになるんです」「部長は先の結果を見越して部下のチャレンジを認めてくれません」。これは筆者が支援している企業のインタビューで聞いた若手・中堅社員の発言です。最近、このような意見をよく聞くようになりました。

若手の成長の芽を摘むベテラン

日本企業にとって最大の課題はイノベーションの創出です。変化を志向する企業は従業員に現状を変えるべくチャレンジすることを求めています。しかし、現場ではチャレンジを促進するどころか、チャレンジする行動をストップさせる状況が散見され、その要因の一つに組織長を筆頭とするベテラン人材の言動や態度があるように思います。社会・ビジネスの変化が激しく、将来予測が困難になっている今日では現実的で合理的な判断がかえって若手のチャレンジを阻害し、組織の成長スピードを減速させているように見受けられます。

先の組織長やベテラン人材の特性についてさらに観察すると「部門として失敗は許されない」「部下が失敗してほしくない」「どこかに正しい解がある」と考えていることが分かりました。組織長やベテランは長年在籍する会社の組織力学を理解していることも手伝って自分を含めて組織を守る志向になりやすく、「あえて失敗させることが組織としても部下にとっても良い方に働かない」と保守的に考え、配下のメンバーの働きがいを抑制し、緊張感のない組織にしている可能性も考えられます。「過去の成功体験」という強みが弱みに変わってしまう時代に、どう対応していけばよいのでしょうか。

経験が生かしにくい組織環境で、ベテラン人材に必要なことは刻々と変化する状況を受け止めたり、跳ね返したり、適応したりすること(レジリエンス)が不可欠です。例えば、「ものごとや状況を観察する力」「経験則で判断せず、まずは受け入れてみる受容力」「仮説から現状を打開するアイデアを創出する力」「周囲を巻き込む力」「即断し、実行する力」などが考えられます。「観察→受容→仮説→アイデア創出→周囲の巻き込み→即断・実行→考察」といった一連の思考・行動のサイクルを短期間で回し、変化に対応することが重要になります。

というのも、変化の激しい時代は石橋をたたくようにアイデアや施策を検討している間に、状況が刻々と変化してしまうからです。まずは小さいアクションから試し、結果のフィードバックを通じてアイデア・施策を大きくし、失敗を恐れず動き、考えられる人材が求められます。

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