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スローライフなシーラカンス 55年で成魚、妊娠5年間

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ナショナルジオグラフィック日本版

かつて、恐竜と一緒に絶滅したと思われていた原始の深海魚シーラカンスが、またしても科学者たちを驚かせている。新しい研究によれば、体長2メートルの「生きた化石」は、従来考えられていたより5倍も長く、おそらく100年ほど生きるという。

2021年6月17日付の学術誌「Current Biology」に発表された論文は、既知の2種のうちの1種、アフリカシーラカンス(Latimeria chalumnae)のうろこを新たに分析したところ、これまで推定されてきた寿命20年は誤りであると結論付けている。

さらには、卵胎生のシーラカンスのメスは5年間も子を身ごもり、オスとメスで若干異なるものの、産まれた子が成熟するにはおよそ55年もかかると、研究を率いたフランス海洋開発研究所のケリグ・マエ氏は言う。妊娠期間はこれまで2年と考えられていた。

過去の研究ではシーラカンスの寿命は20年とされたため、マグロなどと並んで最も速く成長する魚類のひとつとされていた。だがその一方で、シーラカンスの繁殖率の低さ、代謝の遅さ、酸素吸収量の低さといった、深海ザメのような成熟の遅い海洋動物が持つ性質とは不釣り合いだった。

「これまでずっと謎でした。ようやくつじつまがあいます」。今回の研究には参加していない、米オレゴン州立大学漁業野生生物保全科学部長のセレーナ・ヘペル氏はそう語る。

今回の研究結果はまた、絶滅の危機にひんしているシーラカンスが、意図せず網にかかってしまう混獲や極端な気候変動などの脅威に対して、これまで考えられてきた以上に脆弱であることも意味している。

うろこから年齢を割り出す

シーラカンスの成長に関する最初の研究は、1977年、博物館が保管するアフリカシーラカンスの標本12点のうろこに見られる縞(しま)模様に着目したものだった。石灰化構造のこの縞模様は輪条(circli)と呼ばれ、木の年輪やアイスコア(氷床を掘削したサンプル)のように、時間の経過を記録すると考えられている。

うろこに見られる規則的な成長の跡を元に、当時の科学者たちは、これが年に2回形成されるものだろうと結論付けた。その後、年に1回と考えられるようになり、ここからシーラカンスの寿命は20年ほどとされた。

何かまだ判明していないことがあるのではと考えたマエ氏のチームは、フランス国立自然史博物館に保管されている、1954年から1991年の間に捕獲されたアフリカシーラカンスの標本27点(幼魚1点、胎児2点を含む)を調査した。

これまでの調査と同じように、透過型顕微鏡で輪条を見てみると、1970年代の科学者たちと同じ結果が得られた。

隠れていた手がかり

しかし、偏光顕微鏡(反射光を抑え、画像を鮮明にする技術)を使ってシーラカンスのうろこを調べてみると、これまでの常識を覆す結果が得られた。輪条の中に、無数の微小な縞模様、つまり「微小輪条」が存在していたのだ。この微小輪条を分析すると、1年ごとに形成されていることもわかった。

微小輪条が年に1回堆積していくものだとして数えると、博物館の標本の年齢は5~84歳となり、すでにわかっているシーラカンスの生物学的性質とかなり一致することになる。

さらに、動物の標本の年齢に関する標準的な測定方法で分析した結果、シーラカンスは海の中で最も代謝が遅い動物の一種であることが確認された。

また、シーラカンスの妊娠期間を知るために、成魚と同じ方法で胎児のうろこを測定したところ、シーラカンスの妊娠期間は5年であることが判明した。

研究チームは、同じく絶滅の危機にひんしているインドネシアシーラカンスについては調査をしていないが、同じ手法を適用したいと考えている。

成長の遅い深海魚らしい特徴

研究結果には説得力があると、論文には関与していない米オレゴン州立大学の魚類学者、ブライアン・シドラウスカス氏は言う。

著者たちは「得られたデータが信じられるものかをきちんと問い」、徹底した統計的アプローチを取っている、と同氏は評価する。

一方、魚類の成長を専門とする米オレゴン州魚類野生生物局のマーク・ターウィリガー氏は次のように指摘する。魚のうろこは個体が年をとるにつれてはがれ落ち、体内に成分が再吸収されるため、長寿の魚の年齢を推定するには信頼性が低い。

加えて、他の硬骨魚類でうろこの微小な輪条が年齢に対応することは示されていない。

「とはいえ、今回の結果は、成長が遅く、深海に生息する魚であれば、きっとそうだろうと思わせるものです」とターウィリガー氏はメールで語った。

変化に脆弱なシーラカンス

今回の結果は、アフリカ東海岸の水深700メートルに生息するこの希少な魚にとって懸念を増すニュースだといえる。

シーラカンスが繁殖できる年齢に達する前に死んでしまえば、すでに減少しているシーラカンスの個体数が増えない、とマエ氏は語る。アフリカシーラカンスは卵胎生で、5年に1度、3~30匹の子を産むとされている。

このことは、アフリカシーラカンスが「あらゆる変動に対してとりわけ脆弱である」ことを意味していると同氏は言う。次は、気候変動による海の温暖化がシーラカンスに影響を与えるかを研究したいという。

今回の研究は「海の中の奇妙なものたちについて、まだ知らないことがたくさんあることを思い出させてくれます」とヘペル氏は付け加えた。

(文 LIZ LANGLEY、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2021年6月21日付]

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