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脳を鍛える極意 増える「あれ・それ」老化にあらがう脳のアンチエイジング(上)

2021/6/28

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写真はイメージ=123RF
写真はイメージ=123RF
日経Gooday(グッデイ)

会話をするときに固有名詞が思い出せず「あれ」「それ」が多くなった。メモなしでは仕事の予定を覚えられない。仕事の意欲も低下気味……これらは年齢とともに進行する「脳の老化」のサインかもしれない。では、40~50代以降の脳にはどのような変化が起きているのだろうか? 脳の老化を防ぐ手立てはあるのだろうか? 脳科学者で公立諏訪東京理科大学工学部教授の篠原菊紀さんに、2回に分けて聞いていく。

イライラしやすいのは「脳のメモ帳」の余白が減っているから?

人の名前が出てこない、会議や打ち合わせでキレのある発言ができなくなった、ということが増えて「これって脳の老化?」と気になっていないだろうか。日常のさまざまな行動と脳活動の関係をテーマに研究する公立諏訪東京理科大学工学部教授の篠原菊紀さんは、「さまざまなストレスが脳の処理スピードを鈍らせる要因となっています」と言う。どういうことだろうか。

私たちの脳には、記憶や学習、言語をとりまとめる「前頭前野」という部位がある(下記イラスト参照)。「前頭前野の仕事は、脳の別の場所に格納されている記憶や情報を意識に上げてきて、あれこれ検討し判断すること。いくつかの仕事を同時進行させたり、対話の最中に『俺はそうは思わない』と思いながらにこやかに話したり、揚げ物の料理をしながら味噌汁を作る、といった“やや込み入ったこと”をするときには前頭前野が使われています」(篠原さん)

前頭前野の働きを篠原さんは「脳のメモ帳」と例えて説明する。なぜなら、その枚数に限りがあるからだ。「実は脳のメモ帳の枚数には限りがあります。1つのタスクでメモ帳1枚使うくらいのイメージだとすると、みなさんそれを3~4枚しか持っていません。つまり、私たちは、これ・あれ・それ・その他、ぐらいの情報しか一度には処理できないのです」(篠原さん)

そして、仕事のストレスがそのメモ帳の働きに影響するという。「ストレスで気が休まらないという状況だけで、脳のメモ帳の枚数を食うのです。メモ帳が少ないということは、脳の余白がなくなるということ。だから、仕事の処理もうまくいかなくなるし、人間関係もイライラ、ギスギスしやすくなります」(篠原さん)

もちろん、コロナによる先行きの不安もストレスの1つ。さらに、リモートワークも脳のメモ帳に負担を与えているという。「これまで職場に出かけていたときには仕事と家庭をくっきりと分離することができていましたが、リモートワークでは、会議や打ち合わせと家庭の日常がぐちゃぐちゃに混在し、状況に応じてタスクを時系列で並べ直さないといけません。前頭前野のトレーニングとしては良いともいえますが、日常的にこの状態では脳の働きに支障が生じます」(篠原さん)

最近頭が働かない……と悩んでいる人は、通常のストレスに加えて、長期にわたるコロナストレスが脳のスムーズな働きを圧迫している側面もある、ということを知っておこう。

(原図=123RF)
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ルーティン化した作業では「前頭前野」は使われない