NOを増やすなら、有酸素運動を柱とした運動が一番

運動にはウオーキングやジョギングなどの「有酸素運動」と、筋トレなどの「無酸素運動」の大きく2種類がありますが、このうちNOを増やす効果がより高いのは有酸素運動です。

「適度な有酸素運動は、心臓に負担をかけることなく体中の血流量を増やします。しかも酸素を十分に取り入れながら体を動かすわけですから、酸素を豊富に含む血液を全身に行き渡らせることができます。高血圧の人が有酸素運動を習慣化したとき、最高血圧が8.3mmHg、最低血圧が5.2mmHgも下がったという報告もあります[注1]」(市原さん)

[注1]J Am Heart Assoc. 2013 Feb 1; 2(1):e004473.

一方、筋トレなどの無酸素運動はどうかというと、「NOを増やすという観点からは、無酸素運動だけに限って行うのはお勧めできません」と市原さん。無酸素運動は瞬間的に力むような運動であるため、筋肉の緊張が高まり、交感神経を刺激します。交感神経が刺激されると血圧が上がるので、無酸素運動はむしろ血圧を上げる方向に働いてしまうのです。「動脈硬化がある人の場合、急に血管の内側に圧力がかかると、血管が破れたり、詰まったりすることもあるので注意が必要です」(市原さん)

原図(c)Khoon Lay Gan-123RF

しかし、加齢によって心身が虚弱状態に陥る「フレイル」や、筋肉量が減って筋力が低下する「サルコペニア」が問題になっている現在、中高年にとっては筋肉をつけることも大事なテーマです。血圧を上げ過ぎず、なおかつ、ほどよく筋肉もつけるためにはどんな運動が適しているのでしょうか。

「軽く息が上がる程度の有酸素運動を20秒行ったら、休憩を20秒、さらに、左右交互に太ももを腰の高さまで上げる『もも上げ』のような軽い無酸素運動を20秒取り入れ、それを数回繰り返すサーキットトレーニングのような運動がいいでしょう。今まで筋トレを優先していた人も、血圧のことを気にするなら、有酸素運動の割合を多めにしてみてください」(市原さん)

コロナ禍における外出控えなどで運動不足になっている人は多いでしょう。しかし、運動不足が続くと、エネルギー過多のために内臓脂肪がたまり、交感神経を刺激するホルモンが分泌され、血圧が上がってしまいます。運動不足では全身の血流が増えず、NOも産生されにくいため、血圧は上昇する一方です。

テレワークによる運動不足を解消するなら、とりあえず通勤にかかっていたのと同じ時間、体を動かしてみてはどうでしょうか。テレワークの開始前と終了後、ウオーキングやジョギングを毎日取り入れれば、それだけでかなり運動不足は解消できるはずです。

この記事は、 「高血圧の人は筋トレNG? どんな運動をすれば血圧を下げるのに有効か」https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/20/120800044/121800004/(田中美香=医療ジャーナリスト)を基に作成しました。

[日経Gooday2021年5月31日付記事を再構成]

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