答えと解説

正解は、(1)ウオーキングやジョギングなどの「有酸素運動」 です。

血圧を下げるために第一に取り組むべき対策として、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、「食事で塩分を控えること」でしょう。もちろん減塩は高血圧を改善する上で要となる対策であり、ぜひ実践していただきたいことです。しかし、運動、なかでもウオーキングやジョギングなどの「有酸素運動」をすれば、「血圧リセットの救世主ともいえる成分」を体の中で増やすことができることが分かっています。

血管を広げる成分「一酸化窒素(NO)」とは?

その血圧リセットのカギとなる成分とは、「一酸化窒素(NO エヌオー)」というものです。「NOには血管を広げる作用があるため、血管の中でたくさん作れば、血圧を下げることにつながります」と、東京女子医科大学高血圧・内分泌内科教授の市原淳弘さんは言います。

一酸化窒素(以下NO)は、その名の通り窒素酸化物の一種。高温で窒素と酸素が化合することで大気中でも生じます、体内では、血管の内側にある内皮細胞という膜のような細胞から分泌されています。大気中のNOは大気汚染の原因となる「悪者」のイメージが強いですが、血管で産生されるNOは、「血管を柔らかくする」という重要な役割を担っていることが近年の研究で分かってきました。

血管の内皮細胞からのNOの産生が増えると、血管が柔らかくなって広がり、伸び縮みしやすくなります。すると血流がスムーズになり、血圧を正常値に戻そうとする作用が生まれ、血圧も下がるのです。

ただし、残念なことにNOの産生量は年を重ねるにつれて減っていきます。20代のNO産生量を100%とすると、40代あたりで半減し、さらに70代、80代には80%以上も落ちることがあるといわれます。

「NOが産生されなくなると、動脈硬化が進んで血管が硬くなり、血流量に合わせて伸縮する力がなくなります。年をとると、それまで血圧に問題がなかった人でも自然と血圧が高くなっていくのには、このNOの減少も大きく影響しています。でも、中高年になってもNOを増やすことはできます。そのために一番効くのが運動です」(市原さん)

実は、NOを作るには、血液が血管内を流れるときに生じる、内皮細胞の表面をずりずりとこするような刺激(「ずり応力」という)が必要となります。その刺激を増やすためには全身の血液が血管の中をたくさん流れるようにすればいい、つまり運動をして血流を良くすることが重要となるわけです。

原図(c)alexmit -123rf
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NOを増やすなら、有酸素運動を柱とした運動が一番
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