人気のオンライン占い Zoomで海外占師が鑑定も

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オンラインの占いがコロナ禍で急拡大しているらしい。対面を避けたい心理とスマホやパソコンで占ってもらえる手軽さが受けているようだ。オンライン占いの現状を探ってみた。

国内にいながらインドの占師が鑑定するサービス

せっかくならオンラインでなければ見てもらえない、海外の占師にお願いしようと考えた。

選んだのは旅行大手HISが提供する占いのオンライン体験ツアーだ。専用ウェブサイトから、1番人気と書かれた「インド・ジャイプールの占い師シャシ・ソウラブ・テルパティ氏(通称ラブ氏)によるバーチャル占い体験」に申し込んでみた。インド古来の占星術と手相占いで料金は30分で4500円だった。

「こんにちは。私たちの画面見えてますか」。占いの面談はインド側からの呼びかけで始まった。オンライン会議システム「Zoom(ズーム)」の画面には、白い袈裟(けさ)のような服をまとったラブ氏の画面と通訳も兼ねた仲立ち役のHISデリー支店の担当者の画面が映る。

占いはラブ氏が事前に占ってくれた結果を順を追って聞いていく流れだ。そのためラブ氏にはあらかじめ生年月日や生まれた場所と時間、両手の手相の写真を電子メールで送っている。占いで一番印象に残ったのは同氏が知らないはずの「喉の病気」を指摘したこと。ただ残念ながら喉を手術した時期が数年ずれていた。占いについて回る当たり外れについては「当たらずといえども遠からず」だった。

対面ではないデメリット 占い結果は大きく左右せず

占いの手段としてのオンラインについては、占いに縁遠い記者(48)の感覚ではあるが「わざわざ占ってもらうという心理的ハードルは確実に下がる」と感じた。ただオンラインの特性上、目線が合わせられないなど難点も実感した。占う方にとっても、表情や雰囲気をつかむことは対面にはかなわないだろう。

オンラインではこうしたマイナス面が占い結果に影響しないのだろうか。そんな疑問を北海道帯広市で占い館を運営する「十勝帯広の母」こと占師のびしさんにぶつけた。

びしさんは昨年初めて、対話アプリLINEのビデオ通話機能でオンライン占いをした。「子どもの命名」の相談で、コロナ禍で新生児との外出が難しいなかでの工夫だった。「ママだけでなく赤ちゃんの表情もよく分かったし、手相も大きく映してもらえた。『これだったら十分占える』と自信をもてた」という。

コロナ下の不安拡大で仕事の相談 恋愛上回る

オンライン占いを受けられる機会は着実に広がっている。LINEは10日、全国の占い館の占師とユーザーをLINEのビデオ通話でつなげる「LINE対面占い」を始めた。多くの人がなじむLINEの使いやすさと明瞭な料金システムなどで利用者の不安を払拭。「コミュニケーションを促すというLINEの目標を占いの分野でも広げたい」(同社)と意気込む。

会場の広さという制約がないなどオンラインの利点も、普及につながっているようだ。実際、占いサイト大手のザッパラスが2021年1月にオンラインで開いた「占いフェス」は、8日間累計で6万4千人の来訪者を集めた。フェス後に実施したアンケートでは「定番の相談『恋愛・結婚』よりも『仕事・転職の相談』の割合が上回った」(同社)といい、コロナ禍が占いの相談内容に影響している状況もあらわになった。

コロナ禍のなか、占い自体を信じる人も増加中だ。博報堂生活総合研究所の長期時系列調査「生活定点」によると、20年6~7月実施の調査で、「占い・おみくじを信じる」と答えた人の割合は32.5%と前回より約4ポイント上昇した。特に20代女性に限ると前回調査より17ポイント以上増え66.3%と3人に2人が占いを信じると回答している。

歴史をひもとくと感染症と占いには実は浅からぬ因縁がある。例えばインフルエンザは、16世紀のイタリアの占星術師たちが、人々が星の影響を受けて体調不良になったと主張したことが名前の由来になっているという。ともすれば非科学的といわれる占いと最先端技術の結晶であるオンラインの融合は、ポストコロナの時代にも一挙に進んでいきそうだ。

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インターネット占い トラブルも増加

インターネットの「占いサイト」や「占いアプリ」に関する消費者からのトラブル相談が急増している。国民生活センターによると2020年度、全国の消費生活センターなどに寄せられた占いサイトなどに関する相談は2117件と、統計を始めて以来、初めて2000件を超えた。

同センターに寄せられた事例では「無料」のネット広告をみて占いや鑑定に申し込んだものの、多くは結果が出る前に無料期間が過ぎて有料サービスへ誘導されていた。「いまやめるとすべてが無駄になる」などと言われ、300万円以上払った事例もあったという。

同センターは、気軽に個人情報を入力したり届いたメッセージに安易に返信したりしない、メッセージのやり取りをスクリーンショットなどに残しておく、などの対策を呼びかけている。

(舩越純一)

[NIKKEIプラス1 2021年6月19日付]

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