日経クロストレンド

実食を繰り返し、食べやすさを計測

パッケージ開発で特に苦労したのは2つ。自立性と安定性の確保、そして開口部分の調整だった。

テーブル上での自立性と安定性を確保するために行ったのが、マチのサイズ調整だ。電子レンジ調理では米飯が凍結時より隙間がなくなり、それがパッケージの下部に沈み込むことで安定性が高まるが、その広がりがどれくらいあれば安定するかを見極めるのが重要だった。

開口部分の開き具合の調節では、いかに食べやすいパッケージを作るかに注力した。開口部が狭いと、スプーンで米飯を持ち上げたときに引っかかったり、こぼれやすくなったりしてしまった。大きければ大きいほど食べやすいのだが、その場合は横からこぼれ落ちる確率が上がってしまう。ちょうどよいサイズを見つけるのに時間を費やした。

切り取り線の高さ調節も難しかった。高さがありすぎると皿部分が深くなりすぎて食べにくいのだが、低すぎると自立性が損なわれ、米粒もこぼれてしまった。

「これらの調節のために何十品も試作し、実際に自分で試食した。ストップウオッチを持った部下が、『何分で食べ終わったか』『何粒のご飯粒を落としたか』などを毎回測定した」(林氏)

素材選びでは、電子レンジ対応の素材であることはもちろん、売り場に並べたときに見栄えが良くなるように「張り」のあるものを選択した。

商品ごとにメインカラーを設定している。それぞれオレンジや黄緑、水色などカラフルで明るい色を採用することで、売り場で「新しいことをやっている」と伝えたかったという

麺類を商品化する際には、スタンディングパウチ容器を使用した。米飯ほどマチが広くないため、自立性の確保が最も重要だったが、マチのサイズ調整を繰り返しながら、いかに水平に立たせるかを検証した。

ユニークなのは、21年3月に発売した総菜の唐揚げだ。麺と同様にスタンディングパウチ容器を採用したが、米飯や麺のパッケージと最も違うのは、電子レンジで加熱する前に袋の上部を切る設計にしたことだ。

「揚げ物は、袋の中に蒸気がこもると、歯応えがなくフニャフニャした食感になってしまう。大きく開いた上部から蒸気が上に抜ける設計にすることで、ジューシーで柔らかいチキン唐揚げの食感を実現できた」(林氏)

WILDishには、今後も新しいメニューを追加する予定。さらなる商品展開でブランドの認知度を上げたいと考えている。

(フリーライター 近藤彩音、写真提供 マルハニチロ)

[日経クロストレンド 2021年6月14日の記事を再構成]