マチ付きのスナック菓子がヒントに
調理方法はこんな具合。まず凍ったままの商品を裏返し、電子レンジで加熱する。加熱時間は種類によって異なるが、焼豚五目炒飯の場合は500ワットで約4分、600ワットで約3分40秒が目安だという。加熱中は袋が膨らみ、中の蒸気が自然に抜ける。袋の上部を持ってテーブルの上に立てて置き、パッケージの点線に沿ってはさみで袋を切る。加熱することでパッケージの底部に「マチ」ができ、テーブルの上に置けるようになる。5分もかからずにチャーハンが完成し、皿を使わずにそのまま食べられる。




「袋が皿になる」というアイデアが生まれたのは、18年の夏ごろだった。
「当時の冷凍食品開発の課長がスナック菓子で晩酌しているとき『冷凍食品もこうやって袋のまま食べられたら便利だろうな』とひらめいた。そして思い浮かんだのが、一人暮らしの知人から聞いた『皿洗いが面倒だから、冷凍米飯を食べるときは皿の上にラップを敷いている』というエピソードだった」(林氏)
開発担当のメンバーにアイデアを話すと、「コンビニなどの袋入りのカットサラダも、袋のままドレッシングをかけて食べる人が多いらしい」と盛り上がった。「これはいける」と確信し、急ピッチで開発を進めたという。

しかし、実現は容易ではなかった。パッケージに折り込みを入れるための新規設備を導入し、何度も検証を繰り返してようやく生産にこぎつけた。皿にするため、マチのほかにもさまざまな方法を試したが、最終的にこの形式が一番しっくりきたという。