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皿不要の人気冷食「WILDish」 ヒントはスナック菓子

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日経クロストレンド

「WILDish(ワイルディッシュ)」は、マルハニチロが2019年8月に発売した冷凍食品のブランド。レンジで袋ごと調理して、袋から直接食べられるのが特徴で、コンセプトは「この袋が皿になる!」。最初は「焼豚五目炒飯」などの米飯4品を発売し、人気を博したので20年3月にソース焼きそばなどの麺3品と米飯1品を追加した。その後も市場の要望に応えながらラインアップを追加・変更。21年4月末時点で、米飯5品と麺2品、総菜1品の計8品を販売している。

ターゲットは20~30代の男性。仕事が忙しくて食事をする時間が取れないとき、スマートフォンやパソコンを操作しながら食べるといったシーンを想定している。実際のユーザーは20~40代の男性が中心。新型コロナウイルス感染症の拡大後は、リモートワークで仕事をしながら食べる「リモ飯」としても注目された。人気の焼豚五目炒飯の売り上げは、1年間で前年比2桁増になった。

マルハニチロではWILDishのほかにもさまざまな冷凍食品を開発してきたが、ここまで若者に注目された冷凍食品はほとんどなかったという。

「マルハニチロでは長年、お弁当のおかずの開発に力を入れてきた。そのため購入ターゲットは40代の主婦の方で、食べ盛りの中高生向けに商品を開発してきた」(開発部の商品企画グループ市販用冷凍食品課課長の林聡史氏)

発売後に意外だったのは、60歳以上の男女にも人気が出たことだったという。「60歳以上にも人気になった理由として、容量が適切だったこと、本格的な品質を重視し、おいしさにこだわったことなどが考えられる」(林氏)。実際、他社の冷凍チャーハンの容量は400グラム程度だが、焼豚五目炒飯は270グラムと1食分を手軽に食べられるようだ。

マチ付きのスナック菓子がヒントに

調理方法はこんな具合。まず凍ったままの商品を裏返し、電子レンジで加熱する。加熱時間は種類によって異なるが、焼豚五目炒飯の場合は500ワットで約4分、600ワットで約3分40秒が目安だという。加熱中は袋が膨らみ、中の蒸気が自然に抜ける。袋の上部を持ってテーブルの上に立てて置き、パッケージの点線に沿ってはさみで袋を切る。加熱することでパッケージの底部に「マチ」ができ、テーブルの上に置けるようになる。5分もかからずにチャーハンが完成し、皿を使わずにそのまま食べられる。

「袋が皿になる」というアイデアが生まれたのは、18年の夏ごろだった。

「当時の冷凍食品開発の課長がスナック菓子で晩酌しているとき『冷凍食品もこうやって袋のまま食べられたら便利だろうな』とひらめいた。そして思い浮かんだのが、一人暮らしの知人から聞いた『皿洗いが面倒だから、冷凍米飯を食べるときは皿の上にラップを敷いている』というエピソードだった」(林氏)

開発担当のメンバーにアイデアを話すと、「コンビニなどの袋入りのカットサラダも、袋のままドレッシングをかけて食べる人が多いらしい」と盛り上がった。「これはいける」と確信し、急ピッチで開発を進めたという。

しかし、実現は容易ではなかった。パッケージに折り込みを入れるための新規設備を導入し、何度も検証を繰り返してようやく生産にこぎつけた。皿にするため、マチのほかにもさまざまな方法を試したが、最終的にこの形式が一番しっくりきたという。

実食を繰り返し、食べやすさを計測

パッケージ開発で特に苦労したのは2つ。自立性と安定性の確保、そして開口部分の調整だった。

テーブル上での自立性と安定性を確保するために行ったのが、マチのサイズ調整だ。電子レンジ調理では米飯が凍結時より隙間がなくなり、それがパッケージの下部に沈み込むことで安定性が高まるが、その広がりがどれくらいあれば安定するかを見極めるのが重要だった。

開口部分の開き具合の調節では、いかに食べやすいパッケージを作るかに注力した。開口部が狭いと、スプーンで米飯を持ち上げたときに引っかかったり、こぼれやすくなったりしてしまった。大きければ大きいほど食べやすいのだが、その場合は横からこぼれ落ちる確率が上がってしまう。ちょうどよいサイズを見つけるのに時間を費やした。

切り取り線の高さ調節も難しかった。高さがありすぎると皿部分が深くなりすぎて食べにくいのだが、低すぎると自立性が損なわれ、米粒もこぼれてしまった。

「これらの調節のために何十品も試作し、実際に自分で試食した。ストップウオッチを持った部下が、『何分で食べ終わったか』『何粒のご飯粒を落としたか』などを毎回測定した」(林氏)

素材選びでは、電子レンジ対応の素材であることはもちろん、売り場に並べたときに見栄えが良くなるように「張り」のあるものを選択した。

麺類を商品化する際には、スタンディングパウチ容器を使用した。米飯ほどマチが広くないため、自立性の確保が最も重要だったが、マチのサイズ調整を繰り返しながら、いかに水平に立たせるかを検証した。

ユニークなのは、21年3月に発売した総菜の唐揚げだ。麺と同様にスタンディングパウチ容器を採用したが、米飯や麺のパッケージと最も違うのは、電子レンジで加熱する前に袋の上部を切る設計にしたことだ。

「揚げ物は、袋の中に蒸気がこもると、歯応えがなくフニャフニャした食感になってしまう。大きく開いた上部から蒸気が上に抜ける設計にすることで、ジューシーで柔らかいチキン唐揚げの食感を実現できた」(林氏)

WILDishには、今後も新しいメニューを追加する予定。さらなる商品展開でブランドの認知度を上げたいと考えている。

(フリーライター 近藤彩音、写真提供 マルハニチロ)

[日経クロストレンド 2021年6月14日の記事を再構成]

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